チャイルドシート選びの質問で、最近よく聞かれるのが「値段の差ってなんなんですか?」ということ。
日本では、なぜか『高価な物』=『安全性が高い』という方程式を持っている人が多く、とくに御年配の方にその傾向が強い感じがあるのだ。だから孫の誕生祝いに、祖父母がチャイルドシートを買うとなると「一番高価なものを」「高ければ安全なんだから」と金額でアイテムを決たという話を良く聞く。実際まぁプレゼントだし、いいかなぁ、と祖父母の意見に従い買ってもらったが、使ってみたら合わない、とか使いづらくて・・・・と嘆いているお母さんも少なくない。
では実際のところはどうなのか?
金額と安全性というのは、比例しないということ。じゃなんであんなに金額のバラ付きがあるのか?それはキャラクター料だったり、付加装備の分がプラスされているから。実はこんな話をとあるディーラーの方がしてくれた。
それはクルマ業界では高い安全性と実力で人気を誇るドイツメーカー。そこでそのブランドマークが入った純正チャイルドシートが売られている。それは欧米では安全性の高さではナンバー1と評価されているもので、数々の衝突実験テストでも優秀な結果を納めている。ただし、それはそのチャイルドシートメーカーの社長の意向で「チャイルドシートにデコレーションはいらない。安全性が確保されていれば十分。デコレーションのために価格がアップするなんて、そんなのバカな話はないんだから」と、いたってシンプルなものになっている。当然価格も安い。定価で1万円台なのだから。
しかし日本では、このチャイルドシートはまったく売れてない。その理由を聞いてみると、お客さんがみな「こんな安いものじゃ子供がかわいそう」「安いのだから、大したことないんでしょ?」と言って手にしないというのだ。冗談交じりに「だから値上げしようか・・・・って話もあるくらいなんです」とメーカーの人は言っていたが、チャイルドシートメーカーの社長の意向に反するので、今でも安い価格のまま売られている。
でもきっと、あのマークが入り価格が3万円くらいだったら、結構売れるんだろろうなと本音を漏らしていた。
なんともバカげた話である。このチャイルドシート、私も何度が使ったことがあるが本当に使いやすく良い物だった。しかも9割近くの子供が座り心地が良いために、眠ってしまうほど。でも売れない。その理由が「安いから」だから値上げする・・・・なんて、本当にもったいない話。実は日本のメーカーでも「あまり安すぎると売れないから」という理由で、価格設定がされているものも少なくない。
このチャイルドシートメーカーの社長のような考えは、欧米ではとっても多い。だから欧米品は価格の安いものが多いのだ。ただし逆に回転機能や日本のような本革シート仕様なんてものはない。お金に余裕があるのならいいが、無理して高価なものを買う必要性は無く、重要なのは安全性の部分。この安全性さえ確保されていれば、あとは親の趣味趣向となる。だから金額にとらわれず、まずは安全性とクルマとの相性、それから余裕があれば、デコレーションにお金をかけるというのが賢いチャイルドシート選びなのである。
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