日本仕様のC5は、当初は2リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載した2.0のみが発表されたが、その後今回試乗したV6エクスクルーシブが加わっている。最大の違いはエンジンで、エグザンティアV6にも搭載されていた3リッターV型6気筒DOHC24バルブが積まれる。トランスミッションは4速ATで、ハンドル位置は左右両方を用意。サスペンションは2.0同様ハイドラクティブ3となる。
実際に接したC5は、寸法以上に大きく見える。豊かな面の張りがそう感じさせるのだろう。XMやエグザンティアなどの今までのシトロエンと比べるとひと味違うデザインだが、僕は違和感は受けなかった。たしかに個性は薄いものの、長めのフロントオーバーハング、フロントタイヤのすぐ後ろから始まるキャビン、後寄りに位置するリアタイヤなど、パッケージングの面ではシトロエンらしさが受け継がれていることが理解できるからだ。
ちなみに2.0との違いは、ヘッドランプがキセノンタイプとなり、ヘッドランプウォッシャーが追加され、BピラーにExclusive、リアエンドパネルにV6の文字が加えられ、アルミホイールが15インチから16インチに拡大され、専用デザインが与えられることとなっている。
室内はエグザンティアに比べるとダッシュボードやウエストラインが高い位置にあることもあって、囲まれ感が強くなった。スペースは前後方向は今までとあまり変わらないが、横方向はワイドになっている。デザインテーマは2本の弧を交差させたもので、センターコンソールのほか、ATセレクターパネル、ハイトコントロールスイッチパネルにもこの造形が使われている。V6には木目調パネルが装着されるが、今までのシトロエンのような安っぽい仕上げのものではなかった。
フロントシートはエグザンティアは座面に段差があり、背もたれはサイドの張り出しが明確だったが、C5ではクサラに似た緩やかな面を持ち、サイズは大きめになった。座り心地もクサラに似て、身体に合わせて適度に変形し、包み込むようにサポートしてくれるシトロエンらしいものだ。前席はハイトアジャスター付きで(V6は電動)、ステアリングはチルトのほかテレスコピックもするので、ドライビングポジションに不満を抱く人は少ないだろう。
リアシートの座り心地は相変わらず申し分なし。もちろん6:4分割で、座面を起こしたあと背もたれを前に倒す方式で折り畳めるが、C5ではヘッドレストを外さなくても畳めるようになった。その後ろのラゲッジスペースは、エグザンティアに比べるとオーバーハングが伸びたことで前後長が明らかに長くなった。サスペンションの張り出しが相変わらず皆無であることもほめられる。このクラスのセダンではトップクラスの容量であることは間違いない。