
コーナーを駆け抜けながら、思わず自分がミズスマシになったような絵が脳裏に浮かんだ。
嬉しいのは、そのアシのセッテイングである。安心感を持ってガンガン切っていくのだが、スグにタイヤが悲鳴を上げ始める。といっても限界にきているのではなく、あくまでも注意信号にすぎない。スキール音なんて楽しむもんじゃないし、ヘタッピの証明みたいなもんだが、鳴らせながらなおコントロールできるというのは、やはり楽しいものだ。ちなみに電子制御ASRが装備されるが、これがなかなか控え目な効き具合で、スポーツドライビングの興をそぐようなことがなかった。つまり、ちょっとばかり滑らせても楽しみに変わりがない、のである。

ブレーキだけは好みじゃない。これはイタリア車のサガみたいなもので、とにかくファーストタッチのあとに一瞬、空走してしまうのだ。最終的な効き自体は素晴らしいのだが、最初の1歩がダメ。まあ、ブレーキ踏みながらでも1ミリでも多く進みたいイタリア人の性格だろうか。ただし町中での最初の効きはいい。高速域でのタッチが不安、ということだ。
