彼が買ったのは88年式だから前期型である。後期型の方が壊れない、という声も聞くが、彼のチョイスにボクは賛同した。だって、前期型の方が圧倒的にカッコいい。後期は一歩間違うと430セドリックマイチェン後に見えてしまう。
それに、壊れないと言っても、そこは相対性理論の世界。目くそ鼻くそ比較論であろう。さすがに、そうとは買う前に彼に言うことはできなかったが。
A君は、都内のあるイタリア車専門店で、素晴らしいコンディションと思われる1台を発見した。グリーンメタリックに黒内装。ハチサンニといえば、ブラウンベージュの内装を思い出すが、黒はなかなか珍しい。
納車されるのに2ヶ月を要した、というのもハチサンニらしい。ウワサでは、どこかを直すとどこかが機嫌悪くなるそうで。まるでイタリアの悪ガキ集団を起こすようなものだ。
納車当日。なんとA君、これまで左ハンドルのMTなど乗ったことがないとのたまう。ちょっと(というかカナリ)不安になったボクは、練習用にとパンダで迎えに行く。屁の突っ張りにもならんだろうが、練習しないよりはマシというもの。
エンストをするたびに、“ハチサンニやったら、クラッチいっとるな”とオドシながらお店に向かった。慣れない