よくいえば「重厚」な感覚の走り
ドライブフィールは、ボディ剛性の確保には相当に力を入れたとのことで、たしかにフロア振動がクローズドモデルに匹敵する仕上がりとなっているなど、快適性全般は非常にハイレベルにまとめられています。アウディらしいダイナミックなフットワークも期待どおり持ち合わせています。
反面、電動ソフトトップ化による機構の追加や、ボディ剛性確保のための部材の追加などにより、車両重量がクーペのA5に対して260kgも増加しており、その影響は隠せません。A4/A5が4WDらしからぬ軽快なフットワークを身上としているのに対し、それらとは異質の走りは、よくいうと「重厚」な感覚ではありますが……。また、車重増によりハンドリングが鈍くなることに対して、ステアリングレシオ等の設定はクーペのA5と同じようです。本来であればそれもカブリオレ専用に設定したほうが、よりマッチングがよくなるでしょう。ただし、ステアリングフィールが、従来のA4やA5は、速度の変化による操舵力の変化が大きく、ちょっと違和感があったところ、心なしか洗練されたように感じられました。
エレガントな雰囲気を持ち、走りはアウディらしくダイナミックで、快適性も十分に高く、4人が乗れるという点もポイント高し。そして何より、プレミアムセグメントでは貴重なソフトトップである点も特徴。価格はそれなりに高いので、誰にでも手が届くクルマではないでしょうけれど、躍進するアウディブランドに期待される「らしさ」と、ライバルにはないいくつもの特徴を持った、注目すべき1台だと思います。