メルセデスのラインアップ中でもっとも「スポーツカー」
SLK350のエクステリア。ボディサイズは、4110mm×1810mm×1300mm。価格743万円 |
メルセデス・ベンツの車種ラインアップも、いつのまにか非常に多くなったものです。メルセデスの場合、セダンを主体に、A/BクラスやVクラスのようなユーティリティカーも、SUVやスポーティモデルのいずれも充実しているわけですが、数あるスポーティ系のメルセデスの中でも、もっとも「スポーツカー」しているのは、SLKではないかと思っています。
1997年に初代SLKがデビューしたときには、「メルセデスでもこういうクルマを出すんだ!」という、ちょっとした驚きがありました。それは単純に、当時のメルセデスにはこうしたクルマを出すイメージがなかったからで、あのマツダ・ロードスターの衝撃に対するメルセデスの回答のひとつだったのではと思っています。
また、当時は希少だったクーペカブリオレであることにも大いに興味を持ちました。しかし、初代SLKに触れ、ドライブしてみると、あまり感心しなかったのも事実。正直、それなりにスポーティテイストはあったものの、質感もドライブフィールも、メルセデスとしてはちょっと軽薄だったかなと……。
2004年、現行の2代目が登場。Cクラスのプラットフォームをベースに、2ドアのオープンボディとし、バリオルーフを与えた、という手法は初代と同じ。しかし、前記のように感じたユーザーは少なくなかったようで、メルセデスとしても初代の反省もあったでしょうし、6年の間にライバルも様々に進化しました。そこで、ますます激しさを増す競合ライバルとのバトルに打ち勝つために、大きくグレードアップしての登場となりました。
ボディサイズはひとまわり大きくなり、内外装の質感は視覚的にも高まり、動力性能、運動性能などクルマの基本的な性能も大きく向上しました。全体として、初代よりも車格が2ランクほど上がったように感じさせるほど、違うクルマに進化していました。
その2代目SLKもデビューから4年が経過し、兄貴分のSLと同時の2008年5月に大がかりな一部改良を実施。今回の変更点のポイントは、まずエンジン。SLK350、SLK200コンプレッサーのいずれも専用のチューニングが施され、1.8L直4のSLK200コンプレッサーは135kW&250Nmへ、3.5Lは224kW&360Nmへとパワーアップされました。さらに、SLK350の7速ATにはブリッピング機能が採用されました。また、新しい機能として、可変ステアリング機構である「ダイレクトステアシステム」の採用もポイントです。
エクステリアでは、F1マシンのようなエアインテーク、ウインカー部分をアローデザインとするとともに視認性向上のため大型化したドアミラー、ディフューザー形状としたリアスカート、ダークティンテッドリアコンビランプの採用などが変更点。もともと塊り感のあるフォルムが、いっそう精悍かつスポーティになりました。
インテリアでは、インパネが一新され、ステアリングホイールも新デザインのクローム付3本スポークタイプに変更されています。また、周囲にクロームを施したメーターパネル、レッドのアクセントを入れたメーター指針などの演出も見られます。さらに、センターコンソールに、HDDナビ12セグ地デジ放送対応テレビ、ミュージックレジスターなどを統合したCOMANDシステムを採用するなど、期待どおりアップデートされています。新規に採用された部品の数は、実に650点にも及ぶそうです。
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