サスペンションも新開発された
郊外に入り、速度を上げていく。先に素晴らしく滑らかな印象を伝えてきたサスペンションは、舗装路面でも抜群の印象を与える。ボディが常にフラットに保たれ、速度が増すにつれてどっしりと重厚な感じさえ生まれてくる。先に石畳で感じた乗り心地の良さはそのままに、この状況では腰の強い感じを伴った高い安定性を伝えるものとなり、頼もしい乗り味・走り味だと思わせる。上級メルセデスと何ら変わらぬフィーリング、といってもいいくらいだ。同時にクルマ全体から先代以上にカッチリとした感じを受ける。先代もモデル後期では大分熟成が進み、走りは非常に滑らかな世界を実現してきたが、今回の新型はそれを1ランク以上凌ぐ感覚を持っている。
いかにも高剛性なボディに取り付けられたサスペンションがしっかり動く印象が感じられるのだ。それだけに路面からのあたりは確実に丸みを増しており、より滑らかな印象を受ける。こうして路面からのあらゆる入力を巧みにいなすと同時にあらゆる場面で確かなはりを伴う安定を感じさせる。だからボディは常にフラットを保つ。低速で乗り心地よく、高速でしっかり感の高い、理想的な乗り味・走り味となったといえる。
これは新開発となるユニークなリア・サスペンションの効果によるところが大きい。巨大な弓形のアクスルを持ち、これをとても大きな円筒状のブッシュを用いて弓の中央をボディへとリジッドに締結する。さらに弓に対する弦の如く、ハブなどが備わるアクスル左右端から後方中央に向かってリンクが伸び、これらを中央に固定されたワッツ式リンクで受け止める仕組みを持つ。