メルセデス・ベンツ/メルセデス・ベンツの車種情報・試乗レポート

05年日本導入予定の新型Aクラス 新型ベンツAクラス(試乗編)

欧州コンパクトカー試乗は、実に多くの輝きに満ちたニューモデルで彩られている。しかしその中において新型Aクラスは、ひと際強い輝きを放っているように思えるのだ。

執筆者:河口 まなぶ


メルセデス初のCVTにも注目

極めて心地よい乗り味は、フロントに与えられたビルシュタイン社との共同開発によるSDD(ストローク・ディペンデント・ダンピング)と呼ばれる可変ダンパーの効果だそうだ。ピストン・スピードによって減衰力を可変するこのダンパーは、幅広い領域で優れた効果を発揮するという。

そんなダンパーの巧みな制御に感心しつつ、ハンブルグの街中を進んでいく。次に印象的なのは、走り出した時から常にスムーズな印象を伝え続けるドライブトレーン、つまりエンジンとトランスミッションだ。

エンジンは最大2リッターまで用意されており、ベンツ初のCVTが組み合わされる
新型Aクラスでは当然、心臓部分にもかなり力が注がれている。試乗車は136psを発生する新開発の2.0L直列4気筒エンジン。組み合わせるトランスミッションも、新開発のAUTOTRONICと呼ばれるメルセデス・ベンツ初のCVTが搭載される(本国では6速MTが標準でAUTOTRONICはオプション設定だが、日本では標準となるだろう)。

設計/生産ともにメルセデス・ベンツ製となるAUTOTRONICは、初物と思えぬ出来の良さで、CVTにありがちな違和感を見事に抑えたのは当然として、制御も実に巧みで全体的にスッキリとした印象をドライバーに伝える。

エンジンは先代の1.9Lから100cc排気量をアップしただけだが、体感としてはそれ以上に豊かな印象を与えてくれる。どの回転からでも望む力を容易く引き出せ、扱いやすさが際だっている。もちろん性能も効率も先代以上に優れたものながら、だ。

ただ最も感心したのは、そうしたディテールにおける良さではなく、パワートレーン全体としての好印象を伝えること。つまりエンジンが、CVTが、とかいうのではなく、ただただ純粋に扱いやすいなぁと感じさせる点だ。サウンドや振動が主役となるほどは出しゃばらず、こちらの操作に対して忠実に実務をこなす…まさにメルセデス・ベンツらしいパワートレーンだ。
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