人工的なモーター音を自動的に発生するシステム
車道と歩道の分離が曖昧な日本の交通環境においては、こうした装備は不可欠といえる |
気になるのは一体どんな音を発するのか、という点ですが、それについてはトヨタのHPからダウンロード可能な動画で確認することができます。言葉で説明するのは難しいですが、イメージとしては電車が動き出すときのモーター音を甲高くしたような感じです。この通報装置は、技術的には特に難しいものではないと思われますが、どんな音にすべきかについては開発においても相当議論が重ねられたものと想像されます。
何しろこれまで世の中には全くなかった新しい装置ですし、現在ハイブリッド車や電気自動車の中で最も販売台数が多いプリウス用ともなれば、今後への影響力という意味でも相当大きなものとなるはずです。ただ、個人的にはモーター音にこだわらず、もう少しクルマっぽい(つまりエンジンの作動音に近い)音の方が歩行者には分かりやすいのでは、と感じました。
プリウスの通報装置のシステムを簡単に説明すると、発音をするためのスピーカーがフロントバンパー内にセットされ、発進から約25km/hに達するまでの速度域において、自動的にモーター音を発するようになっています。25km/hを超えるとタイヤの発するロードノイズなどで、普通のエンジン車と同程度の騒音を発するようになるため、あえて発音する必要もなくなるというわけです。
音量は、一般的なガソリンエンジン車の発する音に近い55dBほどに設定されています。ボリュームの調整はできませんが、車内には任意に作動を停止できるスイッチも備えられていて、渋滞した高速道路など、音を発する必要がない状況では、今までと同じように静かに走ることもできます。ただし、一度エンジンを切ると、次に再始動するときには自動的に通報システムがONの状態に復帰するよう設定されています。
この車両接近通報装置の価格は1万2600円で、取り付け工賃を含めるとトータルで2万円前後の費用になる見込みです。発売は8月30日から開始予定で、全国のトヨタ販売店などで購入ができます。また、今後はプリウス以外のハイブリッド・モデルに向けても順次ラインナップを拡大し、新車への標準装着も検討されているようです。