圧雪路、凍結路ともにスタッドレスに迫る性能を発揮

装着状態
乗り心地なども含めて、走行感覚はスタッドレスに近いものであった
テストを行ったのは、降り積もった雪を除雪車で踏み固めた圧雪路を中心に、うっすらと路面に雪が積もる程度の舗装路なども走行しました。当日の気温はマイナス5度と低く、雪が少ない部分ではところどころ凍結も見られます。テスト車両は、トラクションコントロールの類が装備されていないFR車です。

まずはスタッドレスでの走行です。しっかりと踏み固められた圧雪路は、実はスタッドレスで最も走りやすいシチュエーションです。そのため、数シーズン使い込んだタイヤとはいっても、一度走り出してしまえばそれなりの性能は発揮してくれるものです。ただし、停車状態からラフにアクセルを開けてしまうと空転を起こし、特に坂道での発進では慎重なアクセル操作が必要となりました。また、凍結した坂道での発進では、完全に駆動輪がスリップしてしまい、全く進むことができない状況に陥りました。

次にオートソックを駆動輪(テスト車では後輪)に装着して、同じコースを走ってみます。まず圧雪路ではスタッドレスとそん色がない、というよりも(使い込んだ)スタッドレスを凌ぐ走りを見せてくれました。停車状態からのスタートでも、明らかに空転する量が少なく、舗装路と同じようなアクセルの踏み方をしてもそれほどスリップせずに加速することができました。

また、コーナリング時、つまりタイヤに横方向の力が掛かっているときのグリップ性能でも、スタッドレスに比べてスライド量が少なく感じられました。これはスタッドレスがもともと制動や加速といった縦方向のグリップ性能を重視したトレッドデザインを採用していることもあって、横方向のグリップ性能は相対的に低いのに対し、オートソックではそうした指向性に捉われないグリップ・メカニズムを採用していることからくる差だと思います。これはちょっと意外な発見でした。

スタッドレス劣化の緊急用としてもオートソックは有効

ただ、本来のようにオンロードタイヤの駆動輪のみにオートソックを装着する場合には、通常のタイヤチェーンなどと同じく前後輪のグリップ力に大きな差が生じますから、4輪にスタッドレスを装着したときのような走りは期待できません。オートソックを装着していないタイヤのグリップレベルに合わせて、慎重な走りを心掛けるべきでしょう。

スタッドレスが完全にお手上げになった凍結路での坂道発進でも、オートソックの優位性を確認できました。もちろん、アクセルはかなり慎重な操作が求められますが、しっかりと凍結した坂道を登ることができたのです。スタッドレスの劣化による性能変化は、こうした凍結路での性能に顕著に現れますから、スタッドレスを履いている時のエマージェンシー用としてもオートソックは有効です。ただ、凍結路は気温や傾斜角などの路面状況によってコンディションは全く異なりますから、過信は禁物です。

その他、特筆したいポイントとしては、優れた乗り心地についてです。これは布製というオートソックの特徴を考えれば当然のことですが、金属やゴム製とは比べ物にならないほど快適です。雪道ではもともと振動が出やすいこともあって、スタッドレスだけのときと比べてもほとんど違いが分からないほどでした。

次ページではオートソックのおすすめの使い方を考えてみます