1リッター車はヴィッツよりデキがいい
ベルタ、である。プラッツ改め、ベルタ。ヴィッツはヴィッツのまま出てきたのに、こちらは名前ごと変えてしまったことからも、いまひとつ販売が伸びなかったプラッツの呪縛を拭い去りたかった……あ、じゃなくて、新しいクルマとしての自信の表れというところであろう。しかし「ベルタ」。イタリア語で「美しい人」という意味だそうだが、思わずを辞書をひいてしまった。だって2年も住んでいて、一度も聞いたことがない単語だったもので、はい。でも、しっかり載っている。もっとも一般的な「ベッラ」より「ベルタ」の方が音の響きがいいので採用した気持ちはよくわかるけれど。
小さなセダン、ベルタに求められる一番の要素はデザインだ。セダンといえば、それだけでオヤジ臭くなるからである。なぜ、いつからセダンはそんな宿命を背負ってしまったのか不明だが、ベルタはその点、結構、イケていると思う。プラッツより140ミリ長くなったボディは、高さを抑えたことですらりとしているし、なんたって顔が清楚でほんのり甘さを残している。ミニバンなんて運転せずに、若いお母さんにぜひ乗ってもらいたい気持ちにさせられる。
さて、試乗会に赴いて、私が一番チェックしたかったポイントは、1Lと1・3Lの乗り心地の違い。というのも、ヴィッツの場合、あまりにも違いすぎて「詐欺だろう!」と叫びたくなったからだ。ヴィッツの1・3Lは、遮音性や振動に配慮されていて、すごく静かで快適に車内で過ごせる。一方、1Lは、遮音関係を省き(低コストで提供するには必要な手段だとは思うけれど)、さらに3気筒エンジンというエンジンタイプのネガをそのまんまひきずって、ばらばら、どこどこと、ひっどい乗り心地だったからだ(真正直な物言いですいません、トヨタのみなさん)。
で、ヴィッツと同系列のベルタはどうかというと、確かに1Lは3気筒エンジンの味わい(うるささとも言う)が残っているものの、さすがにヴィッツのときの市場の声が届いたらしく、遮音関係を丁寧に「小さな穴もつぶしていくなどして」(開発担当者談)、対応したようだ。
その甲斐あってか、私の鈍感なセンサーでも、あれ、ヴィッツの1Lのときほど不快じゃない? と思える仕上がりになっていた。細かいことを言えば、アイドリングのときとか、時速30~40kmから加速していくときのぶるぶる感がまったくないわけではないけれど、これなら1Lでも十分に走れる。お求め安い価格とのバランスをどこにとるかは個人によって違うけれど、1Lは、その意味では非常にお買い得な仕上がりになったといえる。
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