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ランドローバーの世界

昨年冬にヴォーグ、スポーツのレンジローバー、ディスカバリー4のリニューアル、今年春に一部改良を受けたフリーランダー2など充実のランドローバー各車の魅力と世界観に迫る。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

ブレない哲学

フロントビュー
今年3月に一部改良を受けたフリーランダー2。価格は3.2i6が433万円、3.2i6HSEが583万円。ミラーに映し出されるリヤカメラの追加でサイドアンダーミラーを廃止。スッキリとした外観を手に入れている。全長4515×全幅1910×全高1740mm
ランドローバーといえばいまでは高級SUVとして名をなしているが、ファンにはよく知られているように、英国貴族が所有する荘園を見回るための足として生まれた。また、ランドローバーのカタログには必ず「ロイヤルワラント」、英国王室御用達、日本風にいえば皇室御用達の紋章が印刷されている。いまでこそ高級SUVといえば、ポルシェ・カイエンやBMWのX5、X3といったSAVシリーズ、VWのトゥアレグ、アウディQ7やQ5などの欧州勢、RXやムラーノなどの日本勢、アメリカのキャデラックSRXなどが高級化を進めるなど多士済々だが、元祖といえばランドローバーなのだ。しかし、ランドローバーの真骨頂はシリーズ?、シリーズ?といった第二次大戦後の英国製ジープの頃からあくまで実用車であり、フルタイム4WDという譲れない技術を磨き続けてきている。そうした実直さが日本でも根強いファンをつかみ、憧れの存在であり続ける理由だし、同門のジャガーがブランドイメージの確立で近年迷いを見せているのとは対照的だ。

洗練度を深めるランドローバー

リヤビュー
現在のラインナップは、ボトムにフリーランダー2、ディスカバリー4、レンジローバースポーツ、レンジローバーヴォーグの4本立てで、現在、ディフェンダーの正規導入はされていない。フリーランダー2はコンパクトな高級SUVとしては先輩格だが、走りに古さは感じさせない。インパネの整然と並んだボタン類が印象的で非常に機能的
まず、ボトムのフリーランダー2から紹介しよう。全幅は1900mmを超えるが、ボディ四隅がつかみやすく、タイヤがどの向きを向いているのかなど、取り回しのしやすさはランドローバーならではの魅力。オフロードを走る際は、岩や木などの障害物との距離を把握しやすいことが欠かせないが、日本の狭い住宅街を走る際にも非常にありがたい。フリーランダー2に限らずサイズ以上に扱いやすいのがランドローバーの大きな武器といえる。

エンジンは直列6気筒の3.2Lを搭載する。ボルボとの共同開発によるエンジンはややアイドリングや低速時に勇ましさは残るものの、レスポンスがよく、トルクやパワーの出方もスペック以上の手応えを感じる。乗り心地は、高速道路では多少縦方向の振動に対しておおらかな動きをするものの十分に洗練されており、後発ライバルと比べてもは遜色ない。何よりの魅力はハンドリングが非常に素直で、ロングドライブでも疲れを誘わないこと。最近のSUVはスポーティ方向に舵を切ったモデルが多いが、適度にスポーティで安心できるフリーランダー2の味付けは、街中からワインディング、高速道路まで退屈することなくしかも安心できる絶妙な加減だ。

まだまだフリーランダー2の魅力は尽きないが、ダイヤル操作で路面状況に応じた走行モードを選べるテレイン・レスポンスの採用など、ランドローバーが半世紀にわたり培ってきたノウハウを凝縮した4WD技術も非常に信頼性が高い。日本の林道や雪道などを走る際は必要十分以上のパフォーマンスを発揮してくれるし、オフロードでの乗り心地が抜きんでていることもランドローバー共通の特徴。レポーターは、趣味の登山のため狭い林道を走ることがあるが、走りやすさと駐車のしやすさから一番コンパクトなフリーランダー2の魅力に惹かれる。

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