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新趣向MPVエディックス発表

ホンダの新趣向ミニバン、エディックスがついに発表された。1.8m近い全幅のワイドボディを利用して1列3席レイアウトにより2列で6名定員を実現。そのキャビン機能を報道発表会会場で実車チェックしてみた。

執筆者:川島 茂夫


4285mmの全長に1795mmの全幅。全高は1.6mをわずかに上回り、目立ってワイドにも見えないが、ミニバンのもっこりしたスタイルとは明らかに異なっている。スポーティなコンパクト2BOX車をそのままサイズアップしたような外観である。いつもながらのことだが、ホンダのミニバンは見た目から走りそうな雰囲気を持っている。

1.8m近い全幅は1列3名掛けのためだが、実際に座ってみると、それだけの幅を採っても男性の3名掛けは厳しかった。ドライバーシートは標準的なクルマよりも30mmくらいドア寄りにセットされる。それに応じたペダルレイアウトになるが、ホイールハウスの張り出しを少なくして、ペダル類のオフセットを少なくしている。些細なことだが、これも実用的な1列3名掛け実現の努力の一端なのだろう。

運転席に座って「おやっ?」と思わせるのがルームミラー。ふつうは真ん中にあるのだが、ドライバー側にオフセットされている。中央席の乗員による視界の妨げを嫌った設計だ。もっとも、6名乗ってしまうとルームミラーによる後方視界はかなり狭まってしまうのだが。

さて、売り物のひとつ、独立スライド式の中央席だが、前席はインパネの張り出しにより、後方にスライドさせないと満足なレッグスペースが得られない。でっ、後ろにセットすると左右席のバックレスト間にはまるような感じになる。肩周り幅は成人には明らかに不足してしまう。文字どおり肩身が狭く、オマケ的な印象は拭えない。

ただ、中央席乗員の動きがドライバーに影響しないのは、運転の安全を考える上で重要である。例えばフラットなベンチシートによる3名掛けだったならば、危険回避などのとっさの急ハンドル操作を行った時に、急激な遠心力(横G)増大により中央席乗員は左右どちらかの乗員にもたれかかってしまう。左側へのターンならばドライバーに寄りかかる事になり、下手をすれば誤操作を招きかねない。その点でこのレイアウトは二重丸である。

後席もスペースの余裕は似たようなもの。つま先スペースが不足気味だが、レッグスペースは余裕がある。前傾したベルトラインのため後席サイドウインドウが狭く、その分開放感は低下。前席左右席の乗員位置がウインドウに近いことも視界を狭め、パノラミックな風景を求めると多少の不満も感じる。

シート機能及び居住性を総合してみると、6シーターとしては不十分である。やはり中央席はエマジェンシーあるいは子供用のレベルであり、大人6名の長時間走行は厳しい。ただ、ウィッシュやストリームにしても、サードシートは緊急用あるいは子供用、結局ゆったりと乗るならば4名乗車になってしまう。違いを挙げるならばウィッシュ、ストリームは居住性の厳しさをサードシート乗員が一手に引き受けるようになってしまうが、エディックスはみんなで分かち合うような感じである。4名以下ではメリット小だが、サードシートに座るよりはエディックスの中央席のほうが良いというわけだ。

もうひとつエディックスに有利な点がある。6名乗車時の荷室容量だ。後席中央席を後方にスライドさせた分のロスはあるが、大雑把には4名以下の乗車とあまり変わらずに使える。子供を座らせて中央席をスライドさせる必要がなければ、荷室はそのままである。ところがウィッシュ、ストリームはサードシートを使用すると荷室は小物置き場程度の容量しかない。ウィッシュは着座レイアウトを2/3/1にすればに何とか荷室を確保できるが、それでもサードシート収納時の半分になってしまう。

ついでに付け加えるならば、6名乗っても荷室容量の変化が少ないということは、乗員数や積載荷物量に合わせてシートアレンジを変更する必要性も少ないのである。つまり面倒がなく、程々便利に使えるのもエディックスなのだ。多用途性で3列シートミニバンには及ばないが、そんなに色んなことをするわけでもないし、面倒なく気軽に使えるほうがいい、と考える人も少なくないのではないだろうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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