噂のホンダの上級ミニバンの登場まで、しばらく時間が掛かりそうだし、他に目立って採り上げたい車種もないので、今回はミニバンでは選びでちょっと気になるスライドドアの話をしてみたい。

スライドドアは1BOX型ミニバンでは常識。ステーションワゴン型でもリバティやMPV、プレサージュ、シエンタなどに採用されている。1BOX型が中心になるのは低床設計では採用しにくいのも理由のひとつ。スライドドアはガイドレールが上下中央(ドアのローラーは前方上下、後方中央)の3ヶ所にある。この中の下側のレールのスペースのためにサイドシルを大型にするか、床下に納められる高いフロアが必要になる。シエンタではその問題を解決するために、ドア周りの設計でかなり苦労している。

少しの隙間でドアが全開にできることや乗降時にドアが頭や脚の邪魔にならないことが主な長所とされている。確かに狭い場所や荷物を持っている時、また小さな子供を抱えて乗降する時には便利である。クルマに乗り降りするというよりも小屋に出入りするような感覚である。

ただ、操作力が大きい。前ヒンジドアならばヒンジ近くなどほとんど動かないが、スライドドアは全体が動くからドア重量がもろに掛かってしまう。登り勾配に止めれば閉めるのが大変、下り勾配ならば開けるのが大変である。しかもドア自体も重いことが多い。勢いよく開閉すると思いもよらぬ速度でバシャンとくる。そろそろ閉めれば半ドアになりやすい。

そんなこともあって、パワースライドドアの採用車も増えているわけだ。シエンタやモビリオにまで設定されているのだから、今や贅沢装備ではなくなりつつある。手巻きウインドウが駆逐されたように、スライドドアではオート機構付パワースライドが常識になる時代もそう遠くないのかもしれない。

クルマ選びでは装備の先見性も重要。買い換え直前まで目立って古びないようにしておきたいもの。今はちょっと贅沢な感じもするが、周りのスライドドア車がみんなパワースライドドアになった時に自分のクルマだけが時代遅れで使いにくいように思わぬためにも、パワースライドドアは重要装備。予算が許せば積極的な装着を勧めたい。

スライドドアでもうひとつ気になるのが耐久性である。操作力が大きいことやレールを滑るという構造から、ガタもでやすく、ちょっとしたガタが操作感の低下やキシミ音などにつなかりやすい。この辺りは現在でもスライドドア設計の重要なポイント。生産性やパーツの問題だけでなく、設計段階からかなりのノウハウが必要だという。

スライドドア車はドア周りのヘタリが早いと断言できるほど画一的ではないのだが、全体の傾向として前ヒンジの一般的なドアのほうが耐久性が高いと考えていいだろう。ボディにストレスが掛かりやすい荒れた路面を走る機会が多い、あるいは乗降を頻繁に行う使い方が多いユーザーは、その辺りも考慮してみることだ。
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