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安全な車の新基準 スモールオーバーラップ対応に注目

これから新車を購入するのなら、ぜひスモールオーバーラップ対応ボディかどうかという点も勘案したらいいと思う。少なくとも私は重視したい。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

「オフセット衝突」を義務づけたためクルマの衝突安全性は向上したが…

20年ほど前にクルマの衝突安全性は劇的に向上した。「オフセット衝突」と呼ばれる実際の重大事故に多い衝突試験を義務づけたからだ。義務づける前はコストアップや重量増になるため、安全性を重視しているメーカー以外は対応しておらず。対応ボディと非対応ボディは、生死の差を分けるほど決定的な違いがあった。

されど「知らない」というのは強い。ガイドも20年前まではオフセット衝突非対応ボディに乗っていても怖くなかったが、今や出来れば乗りたくない。考えてみたら30年前まではシートベルトしないで乗っても平気だった。40年前までノーヘルでバイクに乗っていた。オフセット衝突だって全く同じことである。

ちなみにオフセット衝突とは車体前面の40%が対向車と衝突したという事故モードを想定したもの。今や軽自動車までオフセット衝突対応ボディになっているため、大幅に死亡事故は減少している。その後20年、新しい衝突モードは取り入れていないのだけれど、最近になって「次の進化」が必要になってきたと思う。

アコード ハイブリッド EX (アラバスターシルバー・メタリック)

アコード ハイブリッド EX (アラバスターシルバー・メタリック)。現在日本で買える「IIHSお墨付き」の日本車はアコードHVだけ


スモールオーバーラップに対応していたボルボとホンダは高評価

ということで現時点で最も重大なダメージを受ける事故形態を調べてみたら「スモールオーバーラップ衝突」と呼ばれるタイプだったワケ。オフセッ ト衝突より“重なり代”が少ないタイプで、現在のオーバーラップ率40%に対し、20~30%というもの。そこでアメリカのIIHSという機関は25%のオーバーラップ衝突モードの試験を開始した。

すると驚くべきコトに40%のオーバーラップ(オフセット衝突と同じ)で素晴らしい安全性を持つクルマが、次々と「最低」評価になってしまう。エアバッグを空振りしたり、サイドカーテンエアバッグが開かなかったり、キャビンスペースに生存スペースが無くなったり。これは中国車だけの話ではない。 日本車やドイツ車まで含まれるのだ。

しかし! 良い成績を取ったメーカーもあった。ボルボとホンダだ。ボルボはIIHSの衝突試験が始まる前から社内基準でスモールオーバーラップに対応していたため『グッド』の評価(4段階中最高評価)となった。ホンダの場合、いち早くスモールオーバーラップ対応を行ったアコードとシビックが『グッド』評価を得ている。

そのほか、日産とスバル、マツダも急遽対応し、2番目の『A』評価に。トヨタ(レクサスを含む)は未対応だったこともあり、最低ランクの『プア』 を連発してしまう。ということで、これから新車を購入するのなら、ぜひスモールオーバーラップ対応ボディかどうかという点も勘案したらいいと思う。少なくとも私は重視したい。

参考までに書いておくと、現在日本で買える「IIHSお墨付き」の日本車はアコードHVだけ(輸入車ではボルボ60/80シリーズ)。A評価を取った日本車勢も、まだ日本仕様は対応出来ていない。なるべく早い段階で日本仕様もスモールオーバーラップ対応ボディにして欲しいと思う。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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