TOYOTA(トヨタ)/トヨタの車種情報・試乗レビュー

トヨタ 新型ランクル・プラド登場

日本はもとより、世界中のオフロードで活躍するランドクルーザー・プラドがフルモデルチェンジを行った。先代同様フレームシャシーを用い、さらに悪路踏破性を高めた新型プラドの特徴を解説。

執筆者:川島 茂夫



ちょっとクルマに詳しい人ならば知っていることだが、最も多くの国に輸出されているトヨタ車はランド・クルーザーである。先代のプラドが登場した時に聞いた話だが、中には一生日に当たることのないランクルもあるそうだ。つまり、鉱山などの地下作業専用に使われるのである。北米などの先進国ではオンロードユースも多い。もちろん、文字通りのオフロード走行もあるし、ダートを100数十km/hの速度でロングツーリングするという需要もある。一般的な乗用車では考えられないほどの多様な用途で用いられ、国内SUV市場の動向だけでは、到底語れないのがランクルなのである。

そういった多様性をクリアすることは新型プラドにおいても、極めて重要である。そのため、国内SUV市場に対して少々整合性を欠く部分も出てしまう。

例えば、シャシーである。フレーム式でリヤサスはトレーリングリンク式のリジッドアクスルを採用する。乗用車としての一般性能を向上するならば軽量高剛性なモノコックと4輪独立懸架は今や常識であり、新型になってもプラドの基本がハード&タフネスにあるのを証明する部分だ。

しかし、それだけで済ませないのもプラドである。世界中を対象にすればオンロード性能も欠かせない要件のひとつ。例えば、フレームは新設計とし、クロスメンバーなどにより剛性の大幅な向上を図っている。ワイドトレッド&ロングホイールベースや新設計サスも採用された。フレームには各所に発泡材やウレタンパッドを設定するなど、オン&オフの両面において優れた走行性能と快適性を狙っている。

ちなみに、5ドア車のアプローチアングルは33度、デパーチャアングルは28度、ランプブレークオーバーアングルは21度となっている。

5ドアのTZ系にはH∞(インフィニティ)-TEMSと電子制御エアサスペンションが採用され、操安性と乗り心地、悪路踏破性の一層高いレベルでの両立を図っている。

興味深いのは4WDシステムである。センターデフ方式のフルタイム4WDを全車に採用しているが、センターデフに前後トルク配分を40対60としたトルセン(トルク感応型)LSDを用いているのが特徴である。アウディがトルセンLSDをセンターデフに用いた4WDシステムを採用しているが、SUVクラスではプラドが初となる。

駆動系に掛かるトルクに応じて差動を制限するトルセン型は、オンロードでの高速走行の安定性の向上に効果が大きく、このシステムの採用も新型プラドのオンロード性能へのこだわりのひとつである。
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