TOYOTA(トヨタ)/トヨタの車種情報・試乗レビュー

ヴォルツ01 ヴォルツって何だ?(2ページ目)

トヨタから発売されたヴォルツ。トヨタの公式サイトではSUVに分類されているが、SUVと断言するにははばかられるキャラクターを持ったクルマである。

執筆者:川島 茂夫

再びヴォルツの具体的な設計の特徴を見ると。前後席のシートポジションの設定がキャラクターをよく現している。多くのトヨタのハッチバック車の後席同様に、ヴォルツのリヤシートもしっかりした建て付けが特徴である。しかし、シート形状やポジションは前席優先の設計思想が現れている。一般的に後席の居心地を重視すると座面は前席よりも高くする。レッグスペースの拡大と視覚的な開放感を高めるのがその理由だ。ヴォルツの後席座面は前席よりも低い。前席バックレストが目前を塞ぐような感じがある。さらに座面とバックレストの形状は平面的であり、フォールディング時の収まりを考えた設計になっている。腰のあるクッションゆえに着座感に不快感はないが、長時間寛げるシートとは言い難い。パーソナル志向の強いショートワゴンという考え方で設計されている。

やや手抜きの観もある後席に対して、荷室周りの使い勝手にはなかなかの工夫が凝らされている。最も印象的なのは荷室床面に備えられたデッキフロアレールである。アクセサリーで用意されているフロアフックにより様々な荷物の固定を可能としている。なお、フロアレールは後席バックレスト背面にも備わる。後席収納状態での使い勝手は設計の要点のひとつとなっている。欲を言えば、せっかくのフロアレールを多彩に活用するためにアクセサリーのさらなる充実を求められるが、こういった発想は大歓迎だ。

床面のボードは樹脂製を採用。汚れ物の積載にも適した設計である。この辺りはニッサン・エクストレイル同様にアウトドアスポーツ&レジャーを趣味にしたドライバーを対象にしているのがよく分かる。

その線で見るならば、ヴォルツはエクストレイルからオフローダーの要素を除いたクルマと考えてもいいわけだ。

SUVながらオフローダーではない。アウトドアスポーツ&レジャー用途を前提にしているが、ファミリー志向のワゴン用途はあまり重視していない。ある意味では極めて中途半端な存在なのだが、キャラクターは明快なのである。

ファッションアイテムを実利だけで理解するのがナンセンスなのと同じように、ヴォルツもまた合理性だけで語ると本質が見えなくなってしまうクルマなのだ。嫌いならば語る必要はなし。まずは直感的に好きになれるかどうかで大まかな判断が下ってしまう。新種のスペシャルティカーと考えてもいいクルマなのだ。
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