
あまりに絞り込みすぎた先代の反省か、新型スパシオはキャビンユーティリティの改善を図り、フロント/セカンドシートを一般的なミニバンやワゴンと同等として、サードシートをエマジェンシー用としている。子供2人の核家族を対象にしたステーションワゴン型ミニバンでは標準的なキャビンユーティリティだが、カローラセダンよりも短い全長で3列シートを実現するために、サードシートはかなり割り切った設計を採用する。座面をハンモック状にしているため、座り心地はあまりよくないが、必要な時の短時間使うならは、何とか納得できるくらい座り心地だ。収納した状態がスタンダードなのである。

もうひとつのスパシオの長所が、狭い場所での取り回しのよさ。先代よりも多少大きくなっているが、それでもFF1.5 L車の最小回転半径は4.9mでしかなく、街中での扱いは小柄なタウンカーとほとんど変わらない。ふだんは子供と一緒に買い物を近所の友達と近場に遊びに行く、奥さんのアシとしても非常にまとまりがいい。
さらに、この取り回しをのよさをアシストしてくれるのが、DVDナビに採用されたバックガイドモニターだ。後退時にナビのカラー画面に後方視界を映し出すのだが、そこに車両サイズや舵角による予想進路まで映し込んでいるのだ。しかも、縦列駐車では切り返しのタイミングや舵角を音声でガイドまでしてくれる。優しさ満載といった感じだ。

小さなミニバンだが、内容の濃さでは今後けっこう大きな存在になりえるクルマである。まだまだ語り足りないのだが、このスパシオについては月刊自家用車の今月号にライバルを交えて試乗を行っているので、興味のある方はそちらを見て欲しい。