3年計画でチャンピオンを目指す!

15歳で最高峰「JSB1000」に挑戦するということは、ロードレース界の常識的な観点からすれば無謀な挑戦かもしれない。ところが、藤田拓哉自身は真っすぐ前を見つめて「3年後には全日本JSB1000のチャンピオンを絶対に獲るつもりです」と力強く語る。

まだ体格が小さく、高校生になってようやくこれから体が大きく成長していく年齢で、1000ccのスーパーバイクを操ることは容易なことではない。同クラスを戦うトップライダーたちは鈴鹿の西ストレートで時速300kmまで加速し、そのあと高速コーナーに飛び込んで行くのだ。とんでもないパワーとスピード領域で戦う、本気で尋常じゃない世界なのである。そこで戦うためにはこれまで以上にトレーニングに励まなければいけない過酷な日々が藤田を待っている。

「まだバイクに乗せられている感じです」とハイパワーのJSB1000の難しさを本人は正直に語る。また、「代表の室井さんからは転倒するような無理な走りは絶対にするなと言われています」とも語る通り、今の藤田はJSB1000を知ること、マシンに慣れることに全力を注いでいる。
ヤマハYZF-R1でサーキットを走る藤田拓哉
【写真提供:MOBILITYLND】

マックス・ビアッジと一緒に走りたい

過酷なレースにチャレンジする一方で、藤田拓哉はまだ15歳。もっともっと遊びたい、ヤンチャをしたい盛りであろう。取材なんて受ける時間があったら、同世代のライダーたちとパドックを走りまわっていたい年齢のはずだ。しかし、彼はレースの世界で大人と共に過ごしてきたからか、取材にはしっかりと対応し、とにかくよく喋り、その雰囲気はもう立派なプロライダー級なのだ。

とはいえ、話をしていると15歳らしいピュアな一面も覗かせる。小学生の頃、幸運にもMotoGP日本グランプリのパドックに入れてもらうチャンスがあり、藤田はイタリア人トップライダーのマックス・ビアッジと一緒に写真を撮ってもらった。その時の写真を今でも大切に持ち歩いている。ビアッジとの出会い、パドックを見ることができた経験が藤田のライダーとしての挑戦を掻き立てたのだ。
藤田拓哉はビアッジとのスナップ写真をライセンスカードを入れるケースにいつも入れてサーキットにやってくる。
「ビアッジ選手は今、スーパーバイク世界選手権を戦っています。彼には引退しないで欲しい。僕も世界に行きたい。彼が引退する前に、僕はビアッジ選手とスーパーバイク世界選手権を戦いたい。その時僕はこの写真をビアッジさんに見せようと思います」

15歳、藤田拓哉は強い意志でしっかりと世界を見据えているのだ。

無謀とも思える挑戦を乗り越える強さ

藤田拓哉。開幕戦の筑波では13位完走。第2戦・鈴鹿はマシントラブルによりリタイアとなった。
藤田拓哉が所属する「DOG FIGHT RACING」はバイクメーカーのバックアップもないプライベートチームだ。全日本ロードレース第2戦・鈴鹿2&4レースで割り当てられたピットは他チームとの共同利用の狭いスペース。マシンも市販車に近い状態で、最新パーツを装着したメーカー系トップチームのマシンと互角に勝負できる状況ではない。それだけに今シーズンの上位進出は困難を極める高いハードルである。

しかし、同チーム代表の室井秀明氏を中心とした藤田拓哉のバックアップ体制は日々強力なものになってきているようだ。多くの人のサポートに応えるべく、まずは藤田自身がバイクに慣れなければならない。そして、ベストタイムをさらに詰め、シーズン後半には次の領域に突入したいところ。様々なカテゴリーを器用に乗りこなしてきた彼ならきっとできるに違いない。

そして何より、彼の持つ「人間力」はきっと大きな力になる。少し話をしただけでも、彼が周りの人を惹きつける何かをもっていることはよくわかる。自己分析能力に優れ、自分の意思を伝えるボキャブラリーも驚くほど豊富で、何よりレーシングライダーとしてカラダ全体から発せられるエネルギーはこれから多くの人を魅了していくことになるだろう。

ロードレース界の石川遼。そんな存在になれる逸材がついに現れた。藤田拓哉の今後の成長が楽しみだ。

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鈴鹿サーキット

DOG FIGHT RACING

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