モータースポーツ/SUPER GTについて

GT500クラスの参戦チーム総覧!(4ページ目)

「SUPER GT」の2010年シーズンを戦うホンダ、レクサス、ニッサンのGT500クラスチームを一挙に紹介。ビギナーにも分かりやすく、チームの歴史や魅力をお伝えしていきます。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

TOM’S=2連覇を狙う昨年のチャンピオンチーム

Car No. 「1」
マシン名 「PETRONAS TOM’S SC430」
チーム名 「LEXUS TEAM PETRONAS TOM’S」
タイヤ:ブリヂストン
ドライバー:脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー
略称 「1号車」「トムスSC」「ペトロナス」
PETRONAS TOM'S SC430
レクサス勢でまず取り上げたいのは昨年のチャンピオンチーム「TOM’S(トムス)」です。トムスは昔からトヨタ系の名門チームとしてお馴染みで、特にル・マン24時間レースに代表されるグループCカーやGTカーによるトヨタのモータースポーツ活動は同チームが担ってきたといえます。そのため、オールドファンにはトムス=ワークスチームというイメージが今も強く残っています。

トヨタ、レクサス陣営は「SUPER GT」の活動の中で「ワークスチームはこのチーム」といった明確な定義付けは行っていませんが、レクサスのラインナップの中では「トムス」は間違いなく有力チームであり、エンジニアを含めたスタッフも非常に有能な人材が揃っています。

メインスポンサーを務めるのはマレーシアの石油会社である「ペトロナス」。同社はトムスのフォーミュラニッポン、全日本F3の活動もメインスポンサーとして広くサポートしているのです。そのトムスを率いるのが元レーサーの舘信秀代表です。舘さんは今から40年前にトヨタ自動車のワークスドライバーとして活躍した人で、特にマカオの市街地で開催された公道レースではトヨタ・セリカで2度の優勝を飾るなど「マカオの虎」の異名で名を馳せたレーサーでした。はやくに現役を引退し、トムスのレース活動で陣頭指揮をとってきた舘さんですが、F3ではジャック・ビルヌーブ、ペドロ・デ・ラ・ロサらを育てたことでも有名です。

舘さんはトムスの代表として今もサーキットに現れますが、トムスのチーム代表、および監督を務めるのは、これまた偉大なレーサーの関谷正徳氏です。関谷氏といえば、95年に日本人で初めてル・マン24時間レースで優勝を飾ったことで有名です。そして、現役を引退されてからはトヨタのフォーミュラ・トヨタ・レーシングスクール(FTRS)の校長を務め、F1で活躍が期待される小林可夢偉、中嶋一貴らを育てました。

こういった業界の偉人、ブレーンが揃った最高の体制を敷くトムス。今年は寿一/ロッテラーのコンビで「SUPER GT」史上初の2連覇を狙います。トムスは「SUPER GT」でこれまで、スープラで戦った全日本GT選手権時代を含めると、3度のシリーズチャンピオンに輝いています。
チームトムスの面々
【写真提供:トヨタ自動車】

【トムスの最近の戦績】
2007年「宝山TOM’S SC430」シリーズ6位
2008年「PETRONAS TOM’S SC430」シリーズ3位
2009年「PETRONAS TOM’S SC430」シリーズチャンピオン

ZENT=セルモ エースチームとしての復活なるか?

Car No. 「38」
マシン名 「ZENT CERUMO SC430」
チーム名 「LEXUS TEAM ZENT CERUMO」
タイヤ:ブリヂストン
ドライバー:立川祐路/リチャード・ライアン
略称 「38号車」「ゼント」「セルモ」
ZENT CERUMO SC430
鮮やかな赤い文字で書かれた「ZENT」のロゴが目立つ「ZENT CERUMO SC430」。今年も東海地方のパチンコ、アミューズメント施設を展開する「株式会社 善都」のサポートを受け、「チーム・セルモ」がこのマシンを走らせます。

「チーム・セルモ」は「バテさん」の愛称でレース界では有名なレースエンジニア佐藤正幸氏が興したチームで、かつては全日本F3000などのフォーミュラカーレースに参戦していました。GTでは、95年から全日本GT選手権にトヨタ・スープラで参戦し、2001年には初のチャンピオンに輝いたチームです。そして、スープラの最後の年になった2005年にもチャンピオンに輝き、レクサスSC430導入後もレクサス勢のエースチームとして君臨してきました。
2005年のチャンピオンマシン、ZENTセルモスープラ
【写真提供:トヨタ自動車】
しかしながら、2005年以降、シリーズチャンピオンには手が届いておらず、最近はトムスにエースチームのお株を奪われ気味なのは否めません。「チーム・セルモ」は山口県のレーシングチーム「INGING(インギング)」と統合し、2008年からは新体制でレース活動を行っており、そろそろ名門復活をかけて加速していきたいところです。

「セルモ」のピットを見ていると、メカニックたちが黙々と作業に取り組むなど質実剛健な雰囲気が漂う老舗チームという印象を受けます。このチームはその真面目な姿勢に素晴しいドライバーが実力を十二分に発揮して応えるところが最大の魅力。特に立川祐路はGT史上最多の15回のポールポジション記録を持っていますし、リチャード・ライアンはホンダ、ニッサン、トヨタの3メーカーのマシンでそれぞれ優勝したことがある希少な経験の持ち主です。ベテランの領域に入ってもなお衰えない速さで起死回生の大逆転を期待したいですね。

【チームセルモの最近の戦績】
2007年「ZENT CERUMO SC430」シリーズ7位
2008年「ZENT CERUMO SC430」シリーズ2位
2009年「ZENT CERUMO SC430」シリーズ10位

ENEOS=ルマン いよいよブレイクするか?

Car No. 「6」
マシン名 「ENEOS SC430」
チーム名 「LEXUS TEAM LeMans ENEOS」
タイヤ:ブリヂストン
ドライバー:伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム
略称 「6号車」「エネオス」「チーム・ルマン」
ENEOS SC430
街でお馴染みのガソリンスタンド「ENEOS」のカラーリングを纏う「ENEOS SC430」は今年、最も注目したいマシンです。「ENEOS SC430」を走らせるのはこちらも名門の「チーム・ルマン」。フォーミュラニッポンと「SUPER GT」に参戦する同チームの母体となっているのは、外国製レーシングカーの輸入代理店の「株式会社 ルマン」です。実はフォーミュラニッポンやF3のマシンは現在もこの会社が輸入しています。

「チーム・ルマン」は土沼広芳(どぬま・ひろよし)氏が監督を務めるチームで、99年から全日本GT選手権に参戦し、2002年に脇阪寿一/飯田章のコンビでドライバーズチャンピオンに輝いています。ちなみに当時のスポンサーは同じガソリンスタンドの「エッソ」でした。

2002年以来、長きに渡ってチャンピオンから遠ざかっている「チーム・ルマン」は優勝も2005年が最後になっています。今年は伊藤/ビルドハイムのコンビも、「ENEOS」とのパートナーシップも3年目ですし、そろそろ表彰台の頂点、そしてチャンピオンという結果が欲しいところです。昨年からエンジニアに山田健二氏を迎えるなど、体制を強化していますし、テストでも好タイムが出ているので、今年は伊藤大輔のレクサス移籍後の初優勝も近づいていると感じます。

【チーム・ルマンの最近の戦績】
2007年「Forum Eng. SC430」シリーズ9位
2008年「ENEOS SC430」シリーズ13位
2009年「ENEOS SC430」シリーズ12位


次のページでもレクサスのチームを取り上げます。
  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
  • 7
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます