F1/F1(フォーミュラ1)について

ロータスが15年ぶりにF1へ復帰!

あの「ロータス」がF1に復帰する。マレーシアのビジネスマン、トニー・フェルナンデスが率いる新生「ロータス」。過去の歴史を振り返りながら、新生「ロータス」の魅力にも迫っていく。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

ロータスF1の新しい歴史が始まる!

2010年は4つのチームが新しくF1に参入してくる(参戦が危ぶまれているチームもあり、流動的だが・・・)。新規参戦チームは自動車メーカーが相次いで撤退してしまったF1に新しい楽しみをプラスしてくれそうだ。

その中でもF1ファンから熱い視線を送られているのが「Lotus F1 Racing(Lotus F1 Team)」である。そう、あの「ロータス」がF1に帰ってくるのだ。
新生「ロータス」となるLotus F1 Racing
【写真提供:LOTUS Racing】
2010年はかつてトヨタ、ルノーなどで活躍したマイク・ガスコインをテクニカルディレクターに起用し、オリジナルマシンを製作。それにコスワースの2.4リッターV型8気筒エンジンを搭載してシーズンを戦う。

ドライバーは元トヨタのヤルノ・トゥルーリ(イタリア)、そして元マクラーレンのヘイキ・コバライネン(フィンランド)というF1優勝経験のあるトップドライバー2人を起用する。

「ロータス」と言っても、かつてF1に参戦した「チーム・ロータス」と中身は全く異なる、いわば新規チームである。現在も「エリーゼ」や「エヴォーラ」などのスポーツカーを製造する「ロータス・カーズ」とは直接の関係はなく、名称の使用を許可されたマレーシア国籍のチームである。新生「ロータス」は自動車メーカーのワークスチームではないが、今後プロモーション展開などでは「ロータス・カーズ」との協力関係も予想される、新しいパターンのチームといえる。

今回は「ロータス」のF1での歴史などを振り返りながら、新生「ロータス」のF1参戦について、その魅力を探っていこう。

ロータス、F1での長い歴史

最近の若いF1ファンにとっては「ロータス」という名前はあまり馴染みがないかもしれないが、「ロータス」はF1の歴史の中で「フェラーリ」と並んで今も燦然と輝き続けるビッグネームだ。

英国人のコーリン・チャップマンが興した「ロータス」は1950年代からレースに参戦し、レース車両を製造、販売してきた。F1に初めて登場したのは今から50年以上前の1958年のこと。1960年のモナコGPで「ロータス18」がF1で初優勝を飾った。
1963年、イギリスGPで優勝したジム・クラークとコーリン・チャップマン。マシンはシーズン7勝をあげた名車「ロータス25」。
【写真提供:LOTUS Racing】
その後、1962年になると、今ではレーシングカーの常識ともいえる「モノコックフレーム」を採用した「ロータス25」をF1に参戦させ、名手ジム・クラークを擁して、1963年に初のワールドチャンピオンを獲得する。そこから「ロータス」は60年代、70年代のF1を席巻していくことになるわけだが、その勝因にはコーリン・チャップマンが学生時代、英国空軍在籍時代に培った「航空」または「空気力学」に関する知識があげられる。

先のモノコックフレームの採用も代表的な例だが、コーリン・チャップマンは「ロータス」のF1マシンに次々と独創的なアイディアを導入させた。例えば、1970年の「ロータス72」ではボディ全体の空力効果を向上させるため、ノーズ先端にあったエンジン冷却用のラジエーターをマシンサイドへと移動させた。「ロータス72」による葉巻型フォーミュラカーとの決別は現在のフォーミュラカーの基本形を作り上げたといえる。
1972年、オーストリアGPで優勝を飾った「ロータス72」。エアロダイナミクスに優れた「ロータス72」は1970年から5年間使用され、3度のコンストラクターズ王者に輝いた。
【写真提供:LOTUS Racing】
また、70年代後半にはフォーミュラカーの底面を流れる空気を利用して、ボディ全体でダウンフォースを得る「グラウンドエフェクトカー」の「ロータス78」を導入。レーシングカーデザインの世界に革命を起こし、大成功をおさめるのだ。その後、この「グラウンドエフェクトカー」の構造は他のチームも相次いで採用した。

まだまだある「ロータス」の革新的な偉業の数々を次のページでもピックアップ!
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