ミスができない緊迫したレースウィークに!
メーカー間の戦いが激しく、応援団も多数詰めかけるSUPER GTのレースウィークには独特の緊張感があった。今年はその緊迫感がさらに増すだろう。金曜日のテスト走行が中止になり、決勝レース前にGTマシンが走行できるのは土曜日のフリー走行(2時間)、予選、スーパーラップ、日曜日のフリー走行となる。これまでは金曜日のテスト走行で各チームが様々なことを試す時間があったが、今年はそれができない。まずファクトリーからサーキットに運んでくる段階でマシンを完璧な状態に仕上げておかなければ行けなくなるので、(当り前のことだが)メンテナンス能力にはより正確性が求められる。
金曜日搬入の後、メカニックは土曜日のフリー走行までにキッチリとマシンを仕上げなくてはならない。ミスは絶対に許されないのだ。 |
さらにマシンのセッティング、仕上げの指揮官となるレースエンジニアのデータ解析能力もさらに重要となる。レースウィークまでにいかに多くのデータを解析しクルマのセッティングの方向性を定めておけるか?これはレースの行方を大きく左右する影の熾烈な戦いになる。フリー走行終了ギリギリまで方向性が見いだせずにガチャガチャとセッティングを変えているようでは厳しい。天候の読みも含めてエンジニアには機転の利いた素早い仕事が求められる。経験と勘も重要になる勝負だ。
当然、ドライバーにとってもシビアなレースウィークになる。まず金曜日の走行ではクラッシュ、コースアウト等が多々見られたが、土曜日のフリー走行での大クラッシュはその後の予選に参加できなくなる可能性が高まり、最もキツイ状況を産む。ドライバーのコントロール能力はこれまで以上に正確さを求められるだろう。そしてベテランドライバーのエンジニアへのフィードバック(マシンの状態を伝える)能力はレースを勝ちに導く大きな要素となる。
ベテラン有利!?いや、必ず次世代スターが登場する
金石年宏とルーキーの塚越広大が組むKEIHIN REAL NSX |
今年、GT500クラスには平手晃平(DUNLOP SARD SC430)、安田裕信(HASEMI TOMICA EBBRO GT-R)、中山友貴(EPSON NSX)、大嶋和也(KRAFT SC430)、塚越広大(KEIHIN REAL NSX)と5人のルーキードライバーがレギュラー参戦する。またGT300クラスにはトヨタの育成プログラム(TDP)のサポートを得た国本雄資、山内英輝らの若手もGTにデビューする。
テストの制限、金曜日の走行削減は彼らルーキーにとって大きな痛手だ。というのも土曜のフリー走行で主にステアリングを握るのは経験のあるドライバーになるからである。ルーキーの練習、慣れに割く時間はほとんど無いのだ。天候や路面の状況によってはほぼブッツケ本番で予選、決勝に挑むことになる場合もあり得ることだ。
昨年はユーロF3で4度の表彰台を経験した塚越はフォーミュラニッポンにも参戦する今年の注目株。 |
仮に彼らの「攻め」が失敗に終わったとしても熱い走りには是非とも大きな拍手を送りたい。なぜなら彼らはこれまでキャリアの中で最も厳しい戦いを強いられるのだから。助っ人外国人ドライバー並のパフォーマンスを見せ、彼らが次世代GTスターになることを祈ろう。
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