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「匠(たくみ)」が愛したレーシングカー(2ページ目)

オフフェスのさきがけイベントであるNISMO FESTIVALが10回目の開催を迎えた。極寒の富士スピードウェイに大観衆が詰め掛け、今年も新旧のレーシングカーがエンジン音を奏であった。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

R38シリーズが総登場!

R383の流線型フォルムは今でも強烈なインパクトがある。このマシンがもしレースに出ていたら、世界のレースの歴史は大きく変わっていたのかもしれない。
ニッサンR380、R381、R382。日産自動車は日本グランプリを戦った伝説の名レーシングカーを大切に保管していた。そしてニスモは毎年のNISMO FESTIVALでこの名車達をレストアし、イベントで披露してきた。

今年のレストアマシンR383はこれまで何度かイベントで展示されてきた。しかし、当時の事情や情報を知るファンは年々減ってきているうえに、レースに出ていないから走行している姿を見たファンなどほぼ皆無であるため注目度がそれほど高かったわけではない。

当時を知るメカニック達が長谷見昌弘の走行をしっかりサポート。
しかし、あえてそのマシンを走行可能な状態にレストアしようというのだ。

R383は日本のレース黎明期のピークを示すマシンであり、レースの歴史の中で間違いなく重要な意味を持つマシンだ。排気量は6000ccのビッグエンジン、最高出力は700馬力以上という地上のモンスターである。

今のように風洞実験施設やコンピューターで全てが分かる時代ではない。技術者達が自分達のアイディア、経験、勘からマシンをデザインし、勝つために寝る間を惜しんで知恵を搾り出していた時代である。悩みに悩んで、時には逃げ出したいくらいに追い詰められたこともあるだろう。当時のレーシングカーは人々の夢とアイディアの集合体なのだ。
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伝説のグランプリマシンを目撃せよ

ニッサンR382を真剣な目つきでメンテナンスするメカニック。当時と変わらない「愛情」と「情熱」が古いレーシングカーのパワーを支える。

西日に照らされ美しい姿を見せるR380。コクピットは異常なほどに小さく狭い。こんなマシンに乗ってアクセル全開で30度バンクに飛び込んでいったドライバーの勇気も忘れてはならない。
日産/ニスモの手によって走行可能な状態に復元された「幻のレーシングカーR383」は兄弟車のR380, R381, R382と共にNISMO FESTIVALでデモンストレーション走行を行った。

当時の「日本グランプリ」の雰囲気はこういう機会がなければ写真の中の昔話で終わってしまうだろう。当時を知らない僕だって記事を書くチャンスも無かっただろう。

「魂」「クラフトマンシップ」「レーシングスピリット」

R38シリーズにはこんな言葉が好きな人の前でこれからも元気に走り続けて欲しいと思う。

次のページではNISMO FESTIVAL 2006に登場したマシンと様々な話題をご紹介します。
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