ワールドカップが鈴鹿・南コースで復活
トップを走るドライバー達はカート製品を製造、開発するメーカーのワークスドライバーとして戦っているプロの領域のドライバーだ。 |
過去にはトゥルーリ、フィジケラ、アロンソ、バトン、リウッツイらの現F1パイロットたちが優勝争いを展開した鈴鹿のワールドカップ。彼らはワークスチームと共にワールドカップを戦い、マシンの状態をエンジニアやメーカーにフィードバックすることを学び実践していった。現代のF1パイロットにはチームやメーカーと積極的にコミュニケーションを取り、マシンを開発する能力が求められていることはご存知だろう。そう、彼らはティーンエージャーの時代から今の仕事に非常に近いことをやってきたのだ。ただ速いだけではなく、ドライバーとしての役割をよく理解している超一流だからこそ、F1まで上り詰めることができたといえるだろう。
ワールドカップは過酷な戦いの連続
最後に待ち受けるロングディスタンスのファイナルヒート。レースウィークの流れを計算し戦うことも彼らはカート時代から体で覚えている。だからこそF1でも驚異的なパフォーマンスを発揮できるのだ。 |
まず金曜日に任意の練習走行が行われる。鈴鹿に慣れていない海外のドライバーにとってはこの時間でコースの特性を掴みセッティングを出していかなくてはならないため高いハードルとなる。
土曜日には朝の練習走行から始まり、タイムトライアル(計時予選)が行われる。このタイトラはセット数の限定されるタイヤをいたわるために最小限の周回におさえ一発でタイムを出すことが重要だ。この結果を元に午後に行われる3回の予選ヒート(レース)のグループ分けが行われる。予選の出場台数にもよるが最低でも2回の予選ヒートを走り、その結果に応じたポイントの合算で次の日のプレファイナル(決勝前のレース)のグリッドが決まる。今回は鈴鹿・南のフルグリッド34台を超える台数がエントリーしているために予選落ちが出る。まだ先は長いと悠長な走りをしたり、無理なバトルをしかけてクラッシュともなれば取り返しの付かないことになる。土曜日はミスが全く許されない緊迫した予選となる。
そして日曜日も練習走行から始まる。予選で下位に沈んだドライバーは追いあげのためのセッティングを煮詰めなおす。そしてセレモニーの後、いよいよプレファイナルだ。いわゆる第1レースと言えるもので、レースの結果でファイナルヒートのグリッドが決まる。ファイナルはレースウィーク中、最も多い周回数が設定されている。ここが最後の勝負となるわけだが、ここに来るまでに相当な数のバトルと駆け引きを行ってきたわけだからドライバーにもマシンにも大きな負担がかかっている。どれだけ余力を残しているか、勝負どころでその力を発揮できるか、ドライバーの野性的な勘と勝負強さと計算力、持てる力を全て出し切らなくては世界一の栄冠は掴めない。
F1では金曜日からの流れが決勝のレース結果を左右する。カートレースとて同じである。超一流が集うワールドカップはレースウィーク中ずっと熾烈な戦いの連続なのだ。
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