昨年、鈴鹿サーキット・南コースを舞台に開催されたアジアパシフィック選手権FAクラスのスタートシーン。 (写真提供:鈴鹿サーキット) |
その戦いはあなたの想像を遥かに超えている
F1ファンの方なら、昨年の日本GPで新王者フェルナンド・アロンソとキミ・ライコネンが見せた猛烈な追い上げ、そして果敢なオーバーテイクを鮮明に覚えていることだろう。「鈴鹿はオーバーテイクしにくいコース」
いつからか作られた定説を2人の新世代F1パイロットはものの見事に崩してみせた。
誰がどう見ても素晴らしいファイトであったが、カートレースに関わる人や国際カートレースを見たことがある人にとっては、アロンソとライコネンが見せたドライビングは「ごく自然に」受け入れられることなのではないだろうか?
アロンソも鈴鹿(南)を走った経験がある。雨でレースが中止となり結果が残されていないが当時から名の知れたドライバーだった。 |
現役F1パイロットの多くが幼少時代からレーシングカートに親しみ、カートがF1への登竜門であることはよく知られている。しかし、プレイングカートに乗ったことはあっても実際にカートレースを見たことがあるF1ファンは意外に少ない。
カートが入門カテゴリーであることは紛れもない事実だ。
しかし、カートはステップアップするための単なる踏み台ではない。
カートといえども世界選手権クラスのハイエンドとなれば強靭な肉体と体力、そしてF1のようにハイテクの電子デバイスこそないものの究極の状態にまで研究を重ねられた最新パーツのポテンシャルを最大限に生かす能力、適応力が必要である。排気量はF1の1/24であっても、スペシャリストによってチューニングされたエンジンのパワーウェイトレシオはF1に匹敵するとも言われ、軽い車体に装着されたスリックタイヤは驚異的なグリップ力を発揮する。世界選手権レベルのレーシングカートのドライブは並大抵の人間のできることではない。
世界選手権レベルのカートレースには、フレーム(シャシー)、エンジン、タイヤ、その他様々なパーツを供給するメーカーがシェア獲得のためにワークス体制を敷いて参戦する。驚くべき額の開発費用がかけられたマテリアルを与えられ、ライバルと駆け引きを行って競争する世界である。果たしてこれを入門カテゴリーと呼んでよいものか?
5月26日(金)から28日(日)に鈴鹿サーキット・南コースで開催されるCIK-FIAワールドカップカートレース『カートレース IN JAPAN』の話題を中心に次ページでカートレースの魅力をご紹介しよう。