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ディーゼルは打たれて強くなる(2ページ目)

最近エコカーの話題によくのぼるのが、次世代ディーゼル。だが知名度の割には、その詳細はほとんど知られていない。今回は次世代ディーゼルを「規制」の側面からチェックしていく。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

日本車も続々と参戦

エクストレイル
今秋発売予定のエクストレイル・ディーゼルは、ほぼガソリン車と同レベルのクリーン度

●日本/平成19年規制(ポスト新長期とも呼ばれる。来年10月施行)
現在施行されている新長期規制と比較すると、NOxが約半分。PMも3分の1という厳しい内容。この規制をクリアすれば、ほとんどガソリンエンジン車と同じクリーン度になるから凄い。この規制を最初にクリアするのは今年の秋に発売される日産エクストレイルになる模様。続いてホンダが来年秋くらい。ベンツとVWもホンダと同じくらいのタイミングで発売する可能性大。

スバルの水平対向ディーゼルは今のところユーロ4適合レベル。ユーロ5をクリアする目処は付いているものの、平成19」年規制が高い高いハードルになる。早くて2011年秋か?
NOx/0.08
PM/0.005

●アメリカ/Tier2 Bin5(すでに施行)
アコード
ホンダが開発を進める新世代ディーゼルユニットを搭載したアコード。リッター15km前後らしい

スモッグに悩まされてきたカリフォルニア州はガソリンとディーゼルを区分していない。つまりガソリンと同じクリーン度でないと認可してくれないワケ。日本と同様にディーゼルを嫌うアメリカも、この規制をクリアしたディーゼル車なら燃費のよさが評価され一気に市民権を得るだろう。

特に車重の重いSUVやミニバンなどはディーゼルが主力になると考えられているくらい。実際、日本市場で出遅れてしまうトヨタもアメリカ向けに大型トラックと同じ尿素水使うタイプの排気ガス浄化装置を組み合わせBin5に対応してくるらしい。

参考までに書いておくと、尿素水を使うタイプの浄化装置は、コスト高と尿素水を補充しなければならないという弱点を持つ反面、技術的なハードルが低い。V6以上の大排気量ディーゼルは、基本的に尿素水を使うタイプになるだろう。
NOx/0.044
PM/0.006

●ヨーロッパ/ユーロ6(2010年代中盤から施行予定)
規制の内容を見ると、日本やアメリカとほぼ同じ。施行時期が両国に比べて遅いのは、1500cc以下の小排気量ディーゼル車だとコスト面や技術的な問題のクリアが難しいためだ。
NOx/0.08
PM/0.005

ディーゼル車は予想以上のスピードで環境性能を高めている。平成17年規制をクリアしていれば、ほとんど排気ガスの臭いもしない。臭くて黒い煙をモクモク出すダーティなイメージから考えれば信じられないほど。

とは言え依然高いハードルも残っている。ホンダやVWがアメリカでの発売を少しづつ先延ばししているのは、OBD2(排気ガス除去システムの自己診断システム)の開発に苦戦しているからだ。

トランスミッションの選定も難しい。新世代ディーゼルはターボラグが大きく、2リッター程度の排気量だと多段トルコンATとの相性は最悪。燃費も極端に悪化してしまう。

いずれにしろ今秋以降はディーゼルが環境技術の主役になるのは間違いないと思う。
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