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東京モーターショーに突如登場! 日産のサプライズモデル!

今回の東京モーターショーにも日産がプレスデイ当日に、事前広報のないサプライズモデルを発表した。今回登場したのは、ダットサンのオープンカーをモチーフとした「ジクウ」だ。その名前の由来は?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド


前回のショーで日産は事前に資料を配付せず、突如『GT-R』のコンセプトカーを出展した。今回も隠し球があるのか期待されたけれど、やっぱりありました。今回登場したのは、ダットサンのオープンカーをモチーフとした「ジクウ」だ。

テーマは『伝統工芸と最新技術の融合』だという。今年は江戸開府400周年という事で、東京都とのコラボレーションにより実現されたそうな。作り込みは真面目そのもの、細部に渡り伝統工芸を今に伝える職人の魂が注ぎ込まれている。もっとも困難だったのは、徳川家の家紋である三葉葵をモチーフとした20インチホイールを収める純銀製のフェンダー部分で、型を作らず4ヵ所全てを1枚板から手作業で完全にフィットさせるには職人の技術を持ってしてもかなりの時間を要したらしい。

ドアトリム下部に漆塗りのパネルが立体的に配され、グリップ付近は江戸唐紙があしらわれている。シートは印伝(いんでん)と言われる鹿の皮に漆を塗った高級感漂う素材が使われており、限られた使用目的であれば実用化も可能なのではと思われる程だ。ステアリング下半分にもこの印伝が巻かれ、上半分の水牛の角と組み合されている。

床面は黒檀(こくたん)・紫檀(したん)と呼ばれる硬い木材による構成で、横開き式トランクフードの裏にも木工が使用されている。トランク内部は着物の材料である江戸小紋(えどこもん)が貼られている。このほかにも、切り子細工のガラスや行灯のようなヘッドライトなど徹底的に江戸。

「これはすぐ実用化すべき!」と思ったのは4つの”モード”を楽しむことができる「江戸ナビ」なる助手席側の液晶画面(運転席側には普通のナビが付く)である。1つ目は江戸東京マップで、走行中の道と江戸時代の地図とを重ね合わせることにより、あたかも江戸の町を走行しているかのような気分に浸ることができる。

2つ目は歴史ツアー。忠臣蔵で赤穂浪士が討ち入をするシーンを見ることができる。3つ目の老舗リサーチ機能は今も続く江戸・明治のお店を紹介。4つ目は時空ガイドと名付けられたナビ機能で、江戸時代に栄えた日本橋、明治は京橋、そして現代の銀座を経由して日産本社ショールームへ到着するといったルートを辿る設定になっている。


どのモードも遊び心満点の演出ではあるが、文化や歴史の足跡として道を捉えられるこれらの機能、観光ガイドとして全国展開して実用化できれば面白いと思う。ちなみに『じくう』のデザインモチーフとなったのは1935年発表のダットサンロードスター。ベースは意外なことに電気自動車だと言う(ハイパーミニのパワープラントを搭載)。

木と紙がクルマの素材として使えるかどうかの「検証」として考えれば、なかなか興味深い。最初に見たときは「なんだこれ!」と感じたものの、プレジデントよりさらに上級なクルマに採用すれば(例えば国賓などVIP用車)、日本の文化をキッチリと表現出来るかもしれません。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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