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任意保険の保険料はドンドン複雑化している 複雑化する任意保険

98年の自由化以後、任意保険のシステムはどんどん複雑になってしまっている。もはや簡単に保険料金の見積もりも出来ない状況。かといって見積もりを取ろうとすると、個人情報を大量に吐き出さねばならない。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

先日自分で加入している任意保険が安いのか高いのか知りたくなり、見積もりを取ろうとした。手続きは簡単。自動車関係の大手Webサイトを見ると、必ずと言っていいくらい任意保険の見積もりサイトにリンクしているバナーが入っているからだ。なぜか? 98年の保険自由化以降、任意保険の種類は爆発的に増え続けた。今や車種と運転者の年齢だけで任意保険の掛け金を算出することなど不可能に近い。プリウスを例に挙げよう。基本は排気量とドライバーの年齢。プリウスの場合1500cc以下に含まれ、ドライバーの年齢を当てはめれば大まかな掛け金が出るのだけれど、困ったことに割引システムも考慮しなければならない。

 これがメチャクチャに保険料金を複雑化しているのだ。手元にあるプリウスの保険証書を改めてチェックすると、エアバッグ、ABSの割引の他『安全ボディ割引』というのがある。厳しい衝突基準をクリアしたボディであれば受けられる、というもの。トヨタのGOAは安全ボディに指定されているため、もちろん割引対象車。さらに『エコカー割引』というのもある。聞いてみるとエコカーはパワーが低く事故を起こす要因少ない、ということらしい。確かにエコカーの多くは環境対応と引き替えに動力性能を諦める傾向。以上、車両関係の割引。

 次にドライバー。長い間、年齢区分は『全年齢』と『21歳未満』『26歳未満』の3カテゴリーだった。しかし『30歳未満』が追加され、さらに保険会社によって35歳や40歳、それ以上で区分するケースまで出ている。参考までに書いておくと、もし40歳未満で契約してしまえば、39歳のドライバーが事故を起こしても保険は支払われない。ウッカリ貸してしまうと大変だ。使い方で値引きしてくれる保険会社もある。週末のみ使うようなケースなら安くなり、年間の走行距離に制限を付けることでも割引してくれるようになった。ここまでくると、簡単に掛け金の算出など出来なくて当然かもしれない。

 そんなことを考えつつ保険会社のバナーをクリックして見積もりを取ることにした。しかし試してみて驚いたのだれけれど、自分の誕生日や免許証番号、運転する家族の誕生日まで、ほぼすべての個人情報を出さなければならないのだ。銀行振り込みなら口座番号も聞かれる。NTTドコモのiモードですら、個人情報が流出しているそうな(だから男性には男性向けの妙なメール入る)。大いに不安。そんなこともあるのだろう。代理店を持たない損保会社はどこも大苦戦しているらしい。TVや新聞で盛んに宣伝しても、効果は非常に少ないとか。初めてつきあう会社に自分の情報を全て伝えるというのは、やっぱり抵抗在る。

 かといって通信販売だと代理店を持たないため、TVや新聞の宣伝をやめれば加入者の勧誘も出来なくなってしまう。そんなこんなで、ほとんどのユーザーは、今まで加入していた保険会社から乗り換えないでいるようだ。今後どうなるか? 現状だと厳しい。どこかが個人情報や、事故処理について円滑に行われるよう、保証してくれるようにならない限り難しいように思う。そう遠くないうち、損保会社も次の一手を打ってくるハズ。
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