これまで試験的に稼働していたETC(高速道路の料金自動収受システム)が3月30日から東京都と千葉県、神奈川県の一部地域で本格的な運用開始となる。簡単にシステムを紹介すると、高速道路の料金所に設置されたETC用のゲートを通過する場合、収受システム付きのクルマならノンストップでOKというもの。JHによれば「高速道路の渋滞の大きな要因になっている料金所での停止が無くなるため流れは良くなり、大気汚染も減少。渋滞が減れば燃料のムダ遣いもなくなります」というもの。
確かにその通りだと思う。すでに10年以上前からヨーロッパなどを中心に実用化されているシステムで、逆に考えれば技術先進国の日本がなぜ遅れたのか不思議なほど。料金所の係員の健康(トラックのマフラーは右側に出ているので、料金所はまともに排気ガスを浴びる)や、人件費の問題を含め、早い時期に採用すべきである。いずれにしろ将来的に考えれば当たり前のシステムであることに間違いない。
しかし問題もいくつかあるようだ。利用者側にとって最大のネックとなるのは「今のところETCを導入しても全くメリットがない」という点。というのもETCのシステムを利用するにはクルマに装備する収受機を買う必要がある。この収受機、現在3~5万円で販売されており、クルマへの装着工賃や作動チェックも含めれば最低で4万円コースとなってしまう。さらに専用のカードにも加入しなければならない。
驚くのがこれだけ投資したても割引システム無し! つまり高速料金を定価で払わないとならないのだ。御存知の通り5万円のハイウェイカードを使えば8千円分のプレミアムが付くし、大口利用者のための料金別納システムを使えばさらに大きな割引になる。ETCも将来的には割引システムを導入するらしいが、現時点で何の発表もないから不安。
一方メリットといえば、料金所で止まらないということだけ。いや、本格的に渋滞するような時は料金所手前の本線から流れなくなるため、流れの良いときだけ停止しなくていい、というくらいしかないと思う。したがって新しいモノ好きの当ガイドですらETCを導入するつもりがないという状況。 ま、本格的に普及すれば割引システムが始まるだけでなく、収受システムの機器も携帯電話のように安くなると思う。
また、これだけ投資して完全に作動してくれればいいけれど、現時点では依然として100%機能していないらしい。JHのホームページを見ても「作動しなかった場合」という項目があるほど個人的に心配なのは盗難である。ETCを利用する場合、車載の収受機にカードを差し込んで使うのだけれど、カードには個人情報まで入っている。これを盗まれたらどうなるか? これまたJHのホームページによれば「降りるときはカードを持っていくように」とあった。当面は様子見か?
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