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祐真朋樹×林央子 司会:桑原茂一 音楽選曲とファッションショー(2ページ目)

GW期間中、原宿で開催された『トーク・ディクショナリー』。コム・デ・ギャルソンの音楽を担当した選曲家、桑原茂一氏が、2人のゲストを迎え、ショーと音楽の世界について語り合う。

執筆者:森田 剛


(K)「シブイ俳優が何人も出てくるね。モデルのキャスティングに関しては、さりげなく見えて相当考え抜かれたものでしたね。役者さんたちも言っていたけれど、演技をするのではなく、ただ洋服を着て出てくるのは、本当に緊張するって」
(林央子さん、以下H)「モデルが観客席のすぐ近くを歩いていますね。私、メンズのショーは見たことが無いんですけれど、すごく親密な感じがしていいなと思いました。他のメンズのショーもこういった雰囲気なのでしょうか」

(S)「みんなわりと近いんですよ。ラフ・シモンズなんかも。ブランドが大きくなってくると、どんどん(会場が)広くなっちゃうんですが」
(H)「レディスではモデルが豆粒みたいなのも多いんですよ。こういうダイレクト な感じはファッションショーの原点みたいな感じがしてすごくいいなと思いました」

(S)「僕がはじめてパリでショーを見たのは湾岸戦争の頃で、ヨウジ・ヤマモトの ショーがすごくカッコよかったのを覚えています。コム・デ・ギャルソンのショーには ジョン・ルーリーとかデニス・ホッパーとかマット・ディロンとかが出ていて、それを6月に東京で合同ショーという形で再現したのも覚えている」
(K)「この頃のコム・デ・ギャルソンのショーは、次にどんなタレントが出るのだろう、という楽しみもありましたね。最近は関わっていないので分からないのですが、 どうですか」
(S)「最近はモデルの雰囲気はちょっと違いますね。若いモデルっぽい人が多いか な」
(H)「レディスのショーでも最近は若い人を使っている事が多いです」

ここで客席の方から、メディア・プロデューサーのローラン安斎さん(以前、桑原氏とショー音楽の選曲の仕事を共にしていた)が助言を加えてくれた。

(ローラン安斎さん、以下R)「僕が見た中では、ワークをテーマにしてモッズやテッズがインスピレーションとなっていたショーが、はじめて中年じゃなく若いモデルを使ったショーだったと思います」
(S)「あ、そうそう、やりましたね。94年かな。ティーンエイジャーばかりを使ったんだよね」
(R)「結構それがダイナミックだったので、中年の枯れた魅力から、徐々に方向性 を変えていったような気がするのですが」

(K)「メンズに関しては、ショーのあるべき姿というのは、どうですか?祐真さん」

(S)「ショーのあるべき姿・・・僕は個人的には面白い方がいいですね。見に来てよかったなと思わないと、せっかくショーなんだから・・・
何年か見ていると、ショーの見方も変わってきて、最初はイン・アンド・アウト、早いか遅いか、みたいなことしか考えなかったけれど、そのうちにデザイナーのことが分かってくると、本気でやってるな、とか、嘘をついてるなっていうのは、見えてきてしまう。
そこで熱を感じたりすると、来てよかったなと思うわけです」

(K)「音楽に影響を受けて服を作っているデザイナーというのは多いのですか ?」
(S)「最近は多いですね。ラフ・シモンズにしてもディオール・オムのエディ・スリマンにしても。タイプは違うけれど、トム・フォードなんかも、ショーの音楽はすごく重要に考えていると思います」

(K)「では、次はコム・デ・ギャルソンのレディス、92年のショーをご覧いただきます」
(H)「この頃には私はまだパリコレには行っていなくて、たぶん東コレで見ていた と思います。当時はコムデギャルソンはパリの後に東京でもショーをおこなっていたので。
コム・デ・ギャルソンとしては珍しくプレーンな雰囲気のシーズンでしたね」

(K)「この音楽に関しては、高齢の女性たちのアカペラのコーラスで、今では使われていない古いフランス語で歌っているそうです。フランスの人でもまるで分からないそうで、どうですかローラン?」
(R)「まったく分かりません」
(K)「川久保さんは音楽の好き嫌いをあまり言わない人だけれども、このCDに関しては珍しく欲しいと言っていましたね」
(H)「音楽も含めて、ヘアメイクなどに関しても、川久保さんがどんなディレクションをしているのか、すごく興味がありますね」

(K)「いろいろなところで言っているんですが、基本的に禅問答というか、こういう服を作るからこういう音楽の方向性で、みたいな会話はまずない。一度もない。
よろしくお願いします、それだけ(笑)」
(H)「服はどの時点で茂一さんはご覧になるのですか?」
(K)「パリに行ってからですね。曲の選曲も終わってフィッティングの時にはじめて見るという・・・その時、ああ、こんな洋服だったのかって」
(H)「じゃあ、選曲をする時は服は知らない?」
(K)「そうです。けれども川久保さんには自分の中にイメージがあるでしょうか ら、作っていたものに対して曲が、これは違います、とハッキリ言われる時もあるけれども、どう違いますと言われることはないので、空回りする事も少なくない。
やはり、自分のコンディションが良くなかったりすると、なかなか求められているものに近付かなかったりします」
(H)「この時の服にこの音楽というのが、すごく印象的ですね」
(K)「たとえばエレガントに見えるものを、いわゆるエレガントな雰囲気の音楽で 見せるということは絶対にしない人だから、民俗音楽でもハッキリどこの国の音楽というのが分かる音楽は使わない。
そこが難しいところで、誰かがパッとわかるようなものは使わないですね」
(H)「そういうお話を聞くと、本当に珍しいブランドだな、という気がします」
(K)「その、珍しいという部分をもう少し詳しく聞かせてもらえないでしょうか?」

音楽選曲とファッションショーの世界 ファッションショーと音楽
モデルのキャスティング
選曲家の仕事
コム・デ・ギャルソン
ファッションショーとパリ


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