伝統的な技術を用いた製品への展開
ガイド松本:
京都には、さまざまな地場産業がありますが、地域ならではの取り組みをなさっていますね。
岩崎さん:
京都の工芸業界から さまざまなものづくりのプロが集まり、新しい京都工芸の創出を目指して1981年設立された『新工芸創作研究会』というものがあります。このような背景より、当時より、本オパールに限らず、伝統と新素材の融合を実践してきました。そういった中で、今回の京都オパールを展開していく中で、『京都の伝統工芸技術と新素材・新技術を、高度な美意識の中で融合させて、新しい工芸品を開発し、商品化することで、京都の地場産業の発展に寄与すること』というテーマをもっており、その一環として織物や漆器、焼き物、その他様々な工芸技法と素材を融合した、製品を展開しております。製品として、京都検定の認定バッジ、他、伝統工芸との融合品として、(鏡台、お箸、飾り箱、ペンダント)などがございます。
ガイド松本:
伝統的、あるいは特殊な技術を用いた製品をご紹介いただけますか?
岩崎さん:
3つの技法をご紹介します。
■漆工芸の一種である 螺鈿(らでん)の技法
螺鈿の「螺」は「貝」、「鈿」は「散りばめること」を意味し、通常、アワビなどの貝殻の内側で、光沢のある部分を使い、上塗りした漆を研ぎ磨いて模様を表面に出すことで光沢模様を表現します。今回の作品は、この螺鈿をヒントに、貝殻の代わりに「京都オパール」を用いることにより、オパール独特の遊色効果を表現に生かしています。製品として、「京都オパール」が表面に散りばめられた飾り箱、帯留め、ペンダントなどを展開しています。連綿と受け継がれてきた“伝統的な工芸技術”と新しい技術による、“新素材”が高度な美意識の中で融合して生まれた「新工芸」ともいえる作品です。
■象嵌(ぞうがん)の工芸技法
象嵌本来とは、一つの素材に異質の素材を嵌め込むと言う意味で、金工象嵌、木工象嵌、陶象嵌等があります。この技法を使い、伝統工芸品の家具やお箸などとして展開しています。
■京都・西陣に古くから伝わる「引箔(ひきはく)」という技法
キューブ状や板状の形に加え、カラーオパールをシート状に加工することに成功しました。シート状の素材によって、さまざまな応用範囲が広がるものと期待しています。
⇒⇒次は、工業製品など量産品への展開をご紹介します!