商品の色・ファッションの色
赤と白のストライプのTシャツを着た主人公の少女が、大きく重そうに買い物カゴを運ぶ。【花王・ニュービーズCM・母と娘シリーズ】のワンシーン |
松本:
商品パッケージの色を、ファッションにリフレインする場合、わかりやすい反面、やぼったくなってしまうこともあるのではないでしょうか?スタイリストなど関係者との調整はどのようになさいますか?
吉田さん:
その通りです。例えば商品パッケージに3色入っていたらそれをそのまま1つの衣装に3色とも入れて採用することはありません。これは野暮ったくなる。また、商品と全く同じ色ではなく、同じ色系でちょっとだけ変えた色彩を使っていることの方が多いですね。その点特にスタイリストのセンスが問われます。だから、広告の意図を理解してくれて柔軟性があってとびっきりセンスがいいスタイリストをキャスティングします。クライアントの担当責任者もこれら感性の側面をテレビCMに期待されているので、私とスタッフの感性を引き出す方向で接してくれます。また、私たち作る側の配慮が足りない場合は、率直に指摘して頂くようにしています。
松本:
商品パッケージの色をCMの中でも繰り返し使用し、強調するのは、一般的な手法なのでしょうか?
吉田さん:
花王の商品群であるトイレタリー部門 (ボディケア・スキンケア・シェービング・ヘアケア・フェイスケア・入浴剤)では、パッケージの色合いが重要視されます。食品・飲料部門に関してもそうですね。また、パッケージを持ったときに商品が目立ちたい場合もありますから、その時はパッケージの色ではなく、シャツを白系にしたり、無彩色や、ベージュ系にしたり。他のジャンル、例えば、車・携帯電話・家電分野になると商品のカラーバリエーションが豊富で一つに絞れないので、商品の色ではなく商品群イメージとしてふさわしい色合いを設定して衣装としても選んでいきます。いずれにしても商品カラーをそのまま衣装に使うというのは、選択種の一つでしかありません。
引き続き、背景の色を決めるアートディレクションについて、お話を伺いました。
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