[過去1ヶ月間の為替動向(指数化:09/8/31=1.0)]
直近(10月5日)のドル円は89円後半台と円高に進んでいますが、他方ドルインデックスは77近辺と他国通貨に対し持ち直しの傾向があり、ドル円とドル他国通貨との連動性が乖離しました。なおこの間の円高材料としては藤井財務相の円高容認発言から始まる一連のドタバタと、亀井金融担当相のモラトリアム問題等がありますが、基本的な大きな流れとしてはドルキャリートレードが背景にあります。これは、米国利上げが当面先と見られており、低金利の米ドルを調達してより安全な円を買う、というもの。なお、対円で最も値上がりしたのがブラジル・レアル。オリンピック開催も決定し、今後ますます注目度が増すものとみられます。
先週気になった話題を振り返る
先週の材料となるニュースの中から幾つかを選んでご紹介します(この他の材料ニュースは、当社の毎朝配信メルマガ「朝っぷ」でご覧いただけます)・武富士(8564)、1日(木)、S&Pが格付けを5段階引き下げ、ダブルBから一気にシングルBマイナスとしました。過払い利息の返還に伴う資金流出止まらず、資金調達も困難と判断した模様です。一方、同業のプロミス(8574)については特段資金調達に問題がないとのことから、みずほ証券が投資判断を2段階引き上げた「買い推奨」としています。なお、武富士は2日(金)に最安値を更新した後、5日(月)には株価が上昇に転じています。
・帝人(3401):2日(金)、ポリカーボネイト事業が好調に推移しており、今期業績の上ブレをみずほ証券アナリストが指摘、強い買い推奨に2段階投資判断を引き上げました。みずほ証券の目標株価は400円(5日終値は283円)。帝人は、エコ関連で非常に先駆的な取り組みを数年来続けていますが、あまり市場で評価されてこなかった経緯があります。ここへきて、ようやく注目を集め始めていると言えるでしょう。株価的には出遅れ感があり、みずほ証券アナリストの評価もうなずけます。
・パナソニック(6752):2日(金)、PC等に使われている汎用リチウムイオン電池を電気自動車向けに応用すると発表しました。製造コストを従来品より50%以下に抑える事が可能、としています。汎用品を140個連結するのが特徴。従来の他社には無い発想で、頼もしい限りです。
・ホンダ(7267):2日(金)、金属型のカーボンナノチューブを合成する新技術の開発に成功したと発表しました。金属型カーボンナノチューブは、銅より高い導電性、鉄より優れた強度、ダイヤモンド並みの熱伝導性を有する一方、綿毛のように軽い、ということです。今回の開発により、今後、集積回路、バッテリー、スーパーキャパシタ等エネルギー貯蔵材料、太陽電池、燃料電池、送電線、飛行機材料等への応用を視野に入れている模様です。実用化までは、まだ時間がかかる段階ではありますが、脱自動車への次世代開発に余念がない点に注目したいと思います。
・世界的な景気低迷にも関わらず、中国、インド、ブラジル等の新興国が兵器調達を拡大している模様です。特にフランスとロシアが金融危機で欧州市場が低迷しているため、積極的に新興国に売り込んでいるようです。景気低迷が顕著になると、アメリカをはじめとして軍事大国の兵器輸出が活発になるといわれています。彼らとしては景気対策の一環ということになるのだと思われますが、それによって世の中が不安定になるのは本末転倒と言わざるを得ません。リスク要因として、頭の片隅に入れておきたいところです。
・中国建国60周年。軍事パレードでは米国の大半を射程に入れる大陸間弾道ミサイル「東風31A」を初公開しました。胡錦濤国家主席は演説で、今後も積極的に軍備増強する方針を明らかにしました。中国が大国となるべく、いわゆる富国強兵政策を全面的に打ち出し始めたということです。地政学的な側面から、中国の軍備動向も注意しておきたいと思います。