夜中に陣痛をがまんしながら車に乗ったり、上の子をあずけたり‥‥そんな苦労がなく、好きに過ごしながら生活空間の中で赤ちゃんを迎える自宅出産。ただ、周到な準備は必要です。
●静かな増加 0.1%から0.2%へ
日本で自宅で出産する人は全体から見ると本当に少なく、1990年には全体の0.1%にまでなりました。でも、激減の一途をたどってきたこの数字が、99年、ほんのわずかですが上向きに転じました。2001年、自宅出産は全国の出産全体の0.2%に当たる2266件がありました※。
この10年くらいの間に、自宅出産を巡る状況は確かに変わりました。ネットはもとより雑誌、新聞、テレビにたくさん自宅出産がとりあげられ、希望者も増えて、若手の助産師さんが次々に開業しているのです。私のまわりにも、開業目指して修行中の助産師さんがたくさんいます。
●まずは、助産師さん探しをする
自宅出産をする場合は、まず、引き受けてくれる助産師さんを探します。助産師さんを頼まず、夫婦だけで出産する「無介助分娩」は、絶対に考えないでください。
助産師さんは、「出張開業出産助産師」と呼ばれる人を頼むのが普通です。この人たちは、入院の設備を持たずに出かけていって仕事をする開業助産師さんで、お産もやっている人が全国に200~300人います。また、入院できる助産院でも、自宅出産を引き受けてくれることがあります。
●医師も頼んでおきましょう
何かあった時、助けてくれる医師がいる助産師さんを頼みましょう。入院施設を持たない助産師は「嘱託医」を持つ法的義務がないのですが、必要なのは明白です。その医師が家から遠い時は、近い医師の中から、引き受けてくれる人を探します。
お産の時、助産師さんが二人以上で来てくれるかどうかも重要。出張開業出産助産師さんは、助産師さんどうし助け合い、仲間と一緒に行けるようにしているはずなので、聞いてみましょう。
●必須! 産後のお手伝いをしてくれる人
自宅出産は妊婦健診も家に来てくれるし、入院もしなくていいし「なんだか申し訳ない」と思う人もいるくらい贅沢な面があります。ただ大変なのは、産後です。
お産が終わってしばらくすると、助産師さんは「では、また明日」と帰ってしまいます。その後は一週間くらい毎日来てくれますが、助産院のように「上げ膳据え膳」というわけにはいきません。
欧米では日本より自宅出産が多いのですが、産後に夫が仕事を休みやすいことも理由かもしれません。夫が休めれば一番いいかもしれないけれど、難しければ、おばあちゃん登場のケースが多いようです。
どうしても頼めなければ、家事手伝いもしてくれるシッターさんを依頼する手もあります。施設出産よりは分娩料が少し安いので、その分をあてる、と言う人もいます。
※ この統計は「自宅・その他」で生まれた人の数で、厳密に言えば入院が間に合わずに車中などで生まれた場合も含まれます。
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全国の助産師さん探しは、こちらのサイトの「助産所一覧」がとても便利です。出張開業助産師さんも紹介されています。
(社)日本助産師会
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