妊娠中は服用する時期によって影響が変わってきます
お母さんが妊娠中に飲んだ薬は、血液中を流れ、胎盤を通過して赤ちゃんの血液の中に入ります。妊娠中の薬を考えるとき、「妊娠と気づかずに服用してしまったけど赤ちゃんに影響はないのか?」と「持病や、妊娠中の病気に対して薬が使えるの?」という2点にわけて考えられるでしょう。赤ちゃんは、受精卵から、徐々にヒトの身体に成長してゆきます。身体の部分や臓器によって、形成される時期が異なります。薬の内容もそうですが、妊娠中は服用する時期がより大切になってきます。
- 妊娠4週未満
“all or none(全てか何もないか)”の言葉に象徴されるように、この時期に服用した薬が影響するとすれば流産です。逆に流産にならなければ、薬の影響はないと考えてよいでしょう。 - 妊娠4~7週
この時期は、器官形成期といって大切な臓器ができる時期で、薬の影響をより強く受けやすく、薬の服用を一番避けて欲しい時期になります。ただし、催奇形性が証明されている薬は、サリドマイドやワルファリンなど多くはなく、これらの薬でも数日服用したからといって奇形になるというわけではありません。この時期には、妊娠と気づかず、風邪薬や頭痛薬を飲んでしまい、あとになって心配を募らせることもよくあります。ただし、市販薬を通常の量、数日間飲んだという程度のことなら、基本的にまず問題にはなりません。僕自身、この時期に妊娠を知らずに内服した薬の影響で奇形になったと思われケースを経験したことはありません。 - 妊娠8~11週
妊娠8週以降、大器官といわれる主要臓器の形成は終わりますが、口蓋や性器などの形成はまだ続いていて、リスクはかなり低くなるものの、この時期にでも形態異常を起こし得る薬剤がごく少数あります。 - 妊娠12週以降
胎児の臓器はすべて形成されていて、薬物の服用で、奇形は起こりません。ただし、胎児機能障害を引き起こす可能性のある薬剤がわずかにあります。