金沢の観光・旅行/金沢の観光スポット

金沢の三文豪、徳田秋聲、泉鏡花、室生犀星を巡る旅(2ページ目)

金沢には「三文豪」と呼ばれる三人の作家がいます。徳田秋聲、泉鏡花、室生犀星です。日本の近代文学史には欠かせない三人の個性と金沢の風土には大きなつながりがありました。「文学」をテーマに金沢を旅してみませんか?

執筆者:小林 万希子

泉鏡花記念館

鏡花記念館への入り口

鏡花記念館の門。大通りから一本入った筋に面しています

この記念館に足を踏み入れると、泉鏡花(1873~1939)を知らない人でも、感覚的にその世界が体験できます。鏡花の人気は、生前から今もなお途切れることなく、舞台や映像、マンガをはじめ、広くはアメリカ、ヨーロッパにも熱心なファンがいるのです。多くの人たちを引きつけて止まないそんな「鏡花の世界」とはどんなものなのでしょうか?

ひるの森

怪しく光る「蛭の降る森」。この下は通り抜けることができる

特にはっとさせられるのは、鏡花の代表作「高野聖(こうやひじり)」の一場面で、旅の僧が通った「蛭が雨のように降ってくる森」を再現したインスタレーション(空間芸術)作品です。ほんのわずかな空間なのですが、思わず引きずり込まれるような怪しい空気が漂っています。

 

「ひるの森」とジオラマ

「ひるの森」(中央)とジオラマ(右)。この辺りは全体的に薄暗い

音とジオラマで不思議な恋の物語「春昼(しゅんちゅう)」を紹介するコーナーにも、つい後ろを振り返って何かいないか確認してしまうような、何ともいえない不気味な感じがあります。

 

鏡花の代表作を紹介

鏡花の代表作を紹介する第一展示室の様子

一方で鏡花は美しいものが好きでした。描く女性もとにかく美しい。最初の展示室には、美しい人が登場する「高野聖」や「義血侠血(ぎけつきょうけつ)」など鏡花の代表作が紹介されています。

 

美しい装丁の本

美しい装丁の本

浪漫主義の鏡花が書く「美しい世界」は、文章だけではなく、本の口絵や挿絵、装丁にまで及んでいます。

 

浅野川にゆれる町の灯り

浅野川にゆれる町の灯り

鏡花の美意識は、幼いころ亡くなった美しい母や、母が持っていた美しい絵草紙の影響を受けているといいます。また、鏡花が住んでいたのも秋聲と同じ、浅野川の近くでした。夜、川面に揺れるお茶屋の灯りは、美しい一方、怪しさやはかなさも漂っているようです。

泉鏡花記念館はかつて泉家があった場所に建てられています。作品の中に登場する浅野川や茶屋街がすぐそばにあるので、市内観光の拠点にもなるおすすめの場所です。

泉鏡花記念館

泉鏡花記念館

泉鏡花記念館
住所:金沢市下新町2-3
TEL:076-222-1025
観覧料:300円
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで) 
休館日:年末年始(12月29日~1月3日)、展示替期間
アクセス:金沢駅からバスで約8分「橋場町(はしばちょう)」下車徒歩約3分
ふらっとバス(此花ルート)で約10分「彦三緑地(ひこそりょくち)」下車徒歩約3分

☆市内の15の文化施設で利用できる共通観覧券もあり(有効期間が1日500円、3日間800円、1年間2000円)
利用できる施設の窓口で購入できます

最後に、室生犀星記念館を紹介します。
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