乳腺炎/乳腺炎の予防

放っておくと重症に…乳腺炎の予防法

おっぱいの調子が少しおかしい、もしかして乳腺炎? それが、いつの間にか本格的な乳腺炎になったりします。乳腺炎は予防が一番大事です。ここでは基本的な話を紹介し、具体的には、対処・治療法の記事で紹介します。

赤岩 明

執筆者:赤岩 明

妊娠・出産ガイド

乳腺炎は予防が大事!

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乳腺炎は予防できる

授乳中、乳房にしこりができて痛いなどのトラブルを経験される方は、軽い症状を含め約3割とされています(国内、海外の報告から)。

母乳育児の方が1000人いると、およそ300人が乳腺炎になりかけます。その中の約30人が本格的な乳腺炎で、医師・助産師の治療が必要になり、そして、約1人が、重症の乳房膿瘍(うみが溜まる)で外科的治療を考慮する状態になります。

実は、この比率、リスク管理のヒヤリ・ハットで有名な、ハインリッヒの法則が当てはまります。重症の乳房膿瘍になった方が1人いたら、乳腺炎になりかけた方は約300人いるということです。リスク管理と同じで、医学的な治療の必要がない、乳腺炎なりかけの段階での適切な対処が、重大事故を予防します。 

 

乳腺炎を予防する食生活

日本人には、和食中心の食事が適しています。飲水を充分にし、高カロリー、高脂肪食を避ける。刺激物、嗜好品を減らすなどです。今のお母さん方にすれば、少し厳しい食事制限かもしれませんが、お母さんと赤ちゃんの授乳リズムが安定している時期には、多少のごちそうは食べられます。乳腺炎の好発時期の記事で紹介します。

グローバル化の時代、人種、お国柄で、母乳分泌に適した食事は違います。私が勤務する病院の近くに、在日韓国人の方が多く住んでいる街があります。そこのオモニが、授乳中のお母さんに勧める食事は、ちょっと過激。でも、それでしっかり母乳が出てくるので不思議です。

最近、お産した助産師さんが、母乳が出なくて焦っていた時(プロの助産師でも焦るんです)に、実家の新潟から送られてきた鯉濃を食べたら、嘘のように母乳が出るようになったという実話もあります。今時、鯉濃かよ、と思いましたが、
食の文化は深い! 妊娠・授乳中の食事については、いずれ記事で紹介します。

 

乳腺炎予防と乳房マッサージ

私は研修医の頃、山間部や港町の病院にお産の当直によく行きました。その頃お世話になった助産師さんに「この辺りでは、おっぱいが出ない人は○○さんに行くんです。乳揉みが上手でよく出るようになるし、痛くない」と聞いて、見に行きました。○○さんは助産師ではなく普通のおばさんで、クチコミで、産後のお母さんをフォローしている方でした。昔の日本には、母乳の文化や、地域のコミュニティーがあったのですが、残念ながら、今は通用しない話です。

本当に痛くないマッサージはありますが、それは職人技です。何千というおっぱいに触り、ゆっくり話をし、お母さんの食事、生活環境を見ながら、母乳育児の支援をする試行錯誤の技です。至高のマッサージはありますが、言葉で伝えるのは困難なのです。

妊娠中の乳房・乳首のお手入れとしてマッサージを指導されることがあるかもしれませんが、WHO(世界保健機関)、母乳コンサルタント、桶谷式のいずれも妊娠中の乳房のお手入れを特に勧めていません。授乳準備の整っていない乳房をいたずらに触ってもトラブルの元になるだけです。今後、次第に妊娠中の保健指導も変わっていくと思いますが、妊娠中のお手入れはほどほどにすべきでしょう。

お産後も、安易な自己マッサージや下手なマッサージは、乳腺炎のきっかけになります。どうしてもマッサージを受けたい方は、桶谷式などの熟練助産師に相談されることをお勧めします。

 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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