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虐待死はなぜ防げなかったのか?

大阪で3歳と1歳の子供がマンションに置き去りにされ、餓死する痛ましい事件が起こりました。児童相談所に通報があったにも関わらず、命が救えなかったのは、なぜなのでしょうか? アメリカとの比較も交え、説明していきます。

執筆者:All About 編集部

通報しないと罰せられるアメリカ

子供たちの命は何よりも優先されるべき。

子供たちの命は何よりも優先されるべき。

大阪西区で発生した幼児遺棄事件では、子どもが亡くなる前数ヶ月の間に母親が食事などの世話をしない「ネグレクト」を続けていました。その間、周辺の住民から相談所などに通報があったのは、数回だけです。

アメリカではほとんどすべての州で、特定の職種に従事する人が児童虐待の兆しを発見したら、児童相談所や警察など関係当局に通報することを「義務」としています。

ここでいう義務を負う特定の職業とは、教師などの教育関係、看護師などの医療関係、警察官など、司法関係、ソーシャルワーカーなど、主に子どもたちに直接関わる職業が網羅されています。

義務である以上通報しなかったら罰則があり、例えばニュージャージー州では、1000ドル以下の罰金や、6ヶ月以下の懲役刑に処されます。

さらに全米50州のうち20州弱では、成人全員が、児童虐待に対して通報する義務を持つと規定されています。こちらも、その事実を知りつつ通報しなかったら、罰金や懲役刑などが待っています。

日本でも児童虐待防止法には、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」と記載されています。

しかし、通報しなかったことに対する罰則はありません。むやみに罰を与えれば物事が解決するとは限りませんが、虐待を防ぐためには、罰則も検討する段階にきているのかもしれません。
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