切子のカットの方法と製造工程
右から左にかけて完成していく様子
- 割り出し:ガラスの表面にどう図案を配分するかを決め、その場所に目安となる印をつける
- 粗摺り:回転するダイヤモンドホイールをガラスにあてて、カットする
- 三番掛け:回転する丸砥石で紋様を整える
- 石掛け:粗摺りより細かい目のダイヤモンドホイールを使い、粗摺りで削った部分に沿ってさらに太くしていく
- 磨き:桐などの木盤、樹脂、フェルトなどを回転させ、研磨剤をつけながらカット面に艶が出るまで最終的な磨きをかける。カットのよさ同様、磨きのよさも大切。全体にバランスよく光り輝やくようになる。
切子の歴史
切子の歴史は比較的新しく、天保5年(1834)に加賀屋久兵衛が、江戸大伝馬町で金剛砂(こんごうしゃ)を用いてガラスを彫刻し、切子細工に工夫したと伝えられています。これが我が国におけるカットグラスの始まりです。江戸時代後期に製作された江戸切子は、薩摩切子と共に江戸期のすぐれたガラス工芸品として現存しています。薩摩切子は、藩主島津斉彬(1809~1858)の手厚い保護のもとに、藩の事業として製作されたもので、当時としては最高の研究と開発の結果出来た美術工芸品でありました。しかし薩摩切子は、藩主島津斉彬の死(1858)と、薩英戦争(1863)の戦火によるガラス工場の焼滅で、その伝統は約20年で途絶え、近年復刻されました。
一方、江戸切子はいわば庶民の手によって採算の枠の中で製作されてきたものです。江戸切子は我が国に現存する貴重な江戸時代の伝統工芸品の製作技法と言えます。また、明治15年(1882)には、品川硝子製造所で英人技師エマヌエル・ホープトマンによって、新しい技法が伝習生に教えられます。江戸時代の切子の伝統は絶えることなく、近代工業の要素を取り入れることになり、今日まで長く存続する基礎を作りました。
昭和60年、東京都伝統工芸品として、また、平成14年、国の伝統的工芸品として指定されました。最近では、海外観光客の日本のお土産としても人気が有ります。
取り扱い方
- 洗い方:洗剤を十分にしみこませた柔らかいスポンジで丁寧に洗う
- すすぎ方:ぬるま湯でよくすすぐ
- 乾かし方:自然乾燥がおすすめ。グラスの中の水分は布でふき切り、カットが施された外側は拭かず、器やグラスを逆さにしてそのまま布の上に置く
- 収納:重ねないようにする
亀戸にある江戸切子のショールームの様子です
JR中央総武線・東武亀戸線 亀戸駅北口下車徒歩約10分の場所にある江戸切子の組合、東京カットグラス工業協同組合のショールームの画像です。テーブルウエアの他にも、花瓶や飾り用の置物などを随時見ることが出来、購入も可能です。
取材協力:東京カットグラス工業協同組合
〒136‐0071東京都江東区亀戸2-9-6-101 ソレイユ2
TEL.03-3681-0961 FAX.03-3681-1422
午前9時~午後5時 日曜・祝日休業