低感度での描写力はCCDに軍配
その一方で低感度における描写ではCCDのほうが一日の長がある。下の画像を見ていただきたい(画像をクリックで実写画像を表示します)。DSC-H55の最低感度ISO80とDSC-HX5Vの最低感度ISO125で撮影したものだが、水上バスヒミコのメタリックな船体を描写できているのは明らかにCCD搭載ののDSC-H55だ。
ただ、中感度ともいえるISO400の時点ですでにCCDには色ノイズとディテールの崩れが出ているのだが、裏面照射型CMOSイメージセンサはまだ実用レベルのものとなっている。下の猫の画像で比べてみれば一目瞭然で、毛並みの描写は圧倒的にDSC-HX5Vの勝利だ。
適材適所で使いたいイメージセンサの違い
裏面照射型CMOSイメージセンサも万能ではなく、CCDもまだまだ低感度においては強さを発揮するということである。コンパクトデジタルカメラによる商品撮影などではCCDの発色のよさ、ディテール描写は捨てがたい利点となるだろう。その一方で屋内での一般的な撮影用途では裏面照射型CMOSイメージセンサ搭載のデジタルカメラに利点があるといえる。現状では適材適所で使用すべきだろう。
おまけ・なぜ『裏面照射型』と呼ぶのか?
なぜ、Exmor Rのことを「裏面照射型」と呼ぶのかという疑問にもついでに答えておこう。これまでCMOSイメージセンサの受光面というものは構造上裏面に配置されており、配線に邪魔されて充分な受光ができなかった。その構造をひっくり返して、裏面(受光面)を表に持ってきたことから、裏面照射型と呼ばれるようになったのである。
この技術自体はかなり古いもので、このように製造したほうが効率がいいということは前世紀から知られていた。しかし、受光部と配線部分の貼り合わせなどに高度な製造技術が必要とされ、現在のところ世界でもソニーだけが実用化している。大きなブレイクスルーを伴った日本のものづくりを象徴する製品なのである。
参考サイト:ソニー技術情報 裏面照射型CMOSイメージセンサ "Exmor R"