モデルルームより模型のほうが重要
シングルにとって、対象住戸とはほど遠いモデルルームより、真剣にチェックしたいのが、模型です。ここで大半の時間を費やすくらいで良いと思います。模型コーナーではまず、マンション周辺の説明を聞きます。いきなりマンションのことは聞きません。住み心地を決める要素のうち7割がたは立地だからです。また、気に入らないからといって、周辺環境は自分の力では変えられないので、心してチェックします。模型を見ながら、マンションから駅までの距離・使える路線、スーパーや病院が歩ける距離にあるか。新駅や駅前開発の計画がないか。働く女性には外灯の明るさや引ったくり・痴漢の状況なども気になるところです。将来の周辺開発計画の有無など。マンション周辺の道路の大きさや交通量・騒音量・空気汚染度、緑・公園の多さなど。ここでどんな暮らしができるか、将来の暮らしにどんな変化があるか、といった情報を収集します。
次にマンションに隣接している建物の位置・間隔・向き・高さや、道路付けを確認します。隣接する建物との間隔がつまり過ぎて、日当たり・採光・通風に影響しないか? 眺望はどうか? 外からの視線が気にならないか? 将来目前に、高い建物が建つ計画はないか? などを聞きます。暮らしやすさの良し悪しを、模型は雄弁に語ってくれます。
ところで、模型が広範囲に造られている場合は、立地や周辺環境におおいに自信がある物件です。最小限の範囲にとどまるときはその逆が多いので、余計に根ほり葉ほり質問します。
共用施設から価格帯なども模型を見ながらチェック
引き続き模型でマンション自体の確認に入ります。共用施設の位置と内容、エレベーターの位置と数、車の出し入れがしやすい駐車場か?駐車台数と料金は?ゴミ出しの方法は? など、模型を見ながら使い勝手を想像します。さらに、各住戸の価格設定の傾向もここで確認します。南向きと西向きの価格差は? 階数ごとの価格差は?などです。私は平均坪単価も必ず聞きます。この単価がマンションの水準・グレードを見る一つの目安になるからです。マンションを飛行機にたとえれば、坪単価200万台はエコノミークラス。300万台はクラスJ。400万台はビジネスクラス。500万台以上はファーストクラスといったところでしょうか。クラスに応じたグレードかどうかを判断するわけです。
ここまでくると、自分が対象とするのがどの棟のどのタイプの何階あたりか、ということが見えてきます。もちろん、「今回は見送りだな」ということも。このように買う・買わないの大まかな判断は、模型コーナーの情報収集でできてしまうのです。
モデルルームの見方とは、売り手が提示するイメージと現実との乖離を見極め、より具体的に自分が住む周辺の立地、棟全体、対象住戸について、より現実的かつ具体的に把握することが大切です。
次のページでは、大規模マンションには付きものの共有施設のチェックポイントを教えてします。どんな施設に利用価値があるのでしょう。