●あらすじ●
赤ちゃんのモモちゃんは、ママとパパとねこのプーと暮らしています。ママはお仕事をしているので、モモちゃんは1歳から「あかちゃんのうち」へ通うようになりました。
モモちゃんは大きくなり、アカネちゃんといういもうとが生まれます。でもママはだんだん元気がなくなり、とうとうママとパパはおわかれすることに。ママとモモちゃんとアカネちゃんは、新しいおうちで3人で暮らすことになりました。
パパはときどき、オオカミになってアカネちゃんの前に現れます。アカネちゃんは、どうしてパパといっしょに暮らすことができないのか、ママに聞きました。
モモちゃんは小学生から中学生に、アカネちゃんも保育園児から小学生になっていきます。そして、とうとう死に神がパパのところへやってきました・・・。
●作品について●
このシリーズの最初のお話『ちいさいモモちゃん』は、1964年刊。完結編である6冊目の『アカネちゃんのなみだの海』が出版されたのが1992年。およそ30年をかけて書かれた物語です。
この物語の成り立ちについては、『アカネちゃんのなみだの海』の「あとがき」で、著者の松谷みよ子氏が語っています。
・・・そもそも、この『ちいさいモモちゃん』が生まれたのは、長女が4歳のとき、「わたしの赤ちゃんだったときのおはなしをして。」とねだられたのがきっかけでした。・・・
「保育園なんてどうにもならない子のいくところよ。・・・」近所の方にいわれました。まだ偏見の強い時代でした。しかし、娘を赤ちゃん部屋へ入れてみて、集団のなかで育っていく姿に感動をおぼえました。
そうだ、ふつうのお母さんのように手をかけて育てられないけれど、だからこそ、この子のからだの成長と魂の成長を書いておこう、と思いました。
『アカネちゃんのなみだの海』「あとがき」より引用
著者自身が、自分の長女の成長に合わせて書いたのが『ちいさいモモちゃん』『モモちゃんとプー』の2冊です。
『モモちゃんとプー』が出版された時点で著者がすでに離婚していたこともあり、このシリーズは2作でおしまいにするつもりだったとのことです。
・・・この壁を破ったのが二女でした。1歳半で父と別れた二女にとって、父がなぜいないかということは、ものごころついてからの大きな疑問でした。・・・
・・・ママがつぎの本を書けば、そこんところがわかる。さてそれからきびしい状況になりました。モモちゃんの3冊目はいつ書くのか、というのです。・・・
・・・離婚を幼年童話のかたちで書いた『モモちゃんとアカネちゃん』は、1974年、こういうわけで生まれたのです。・・・
『アカネちゃんのなみだの海』「あとがき」より引用