輸出企業の利益が減っていく

一時は米ドルに代わる基軸通貨になると期待されたユーロだが、今の状況は苦しい。

一時は米ドルに代わる基軸通貨になると期待されたユーロだが、今の状況は苦しい。

円/ユーロの交換レートは、去年2009年秋には1ユーロ=130円以上だったのが、現在では1ユーロ=107円程度まで下がりました。ユーロが安くなり円が高くなれば、当然ながら日本の輸出企業にはマイナスの影響が出てきます。ユーロが安くなれば、それだけ製品をユーロ圏に売った場合、円建ての利益が少なくなります。

利益以前の問題として、ユーロが安くなればそれだけユーロ圏の企業にとって海外からの製品を買いにくくなるので、売り上げ個数自体も落ちていきます。

とはいえ、多くの日本企業にとっては、ユーロ建ての輸出取引は米ドル建ての取引に比べてまだまだ少ないのが実際のところ。そのため、円高ドル安に比べれば、ユーロ安は業績に与える影響はまだまだ小さいでしょう。

日本の主要な企業にとって、1円だけ円高ユーロ安になると実際にどの程度の利益が少なくなるのでしょうか?

主要企業の中でもかなり影響が大きいのがソニーで、1円の円高ユーロ安で、年間の営業利益が70億円も減ることになります。ちなみに、ソニーの欧州売上比率は22.8%。1円の円高ドル安になった場合に減る営業利益は、20億円です。

トヨタ自動車の場合は、1円の円高ユーロ安で、年間の営業利益が50億円減るという試算になっています。トヨタの欧州売上比率は約10%。一方、トヨタは北米の売上比率が約30%と非常に高いので、1円の円高ドル安による営業利益への影響は、年間300億円にもなります。

キヤノンは欧州売上比率が31%とかなり高く、1円の円高ユーロ安による営業利益への影響は、年間41億円のマイナスになります。一方、北米売上比率も28%と高く、こちらは年間で68億円の営業利益のマイナスになるという試算になっています。

世界的不均衡の拡大の恐れも

ユーロは対円だけではなく、対ドルでも下落しています。昨年2009年秋には1ユーロ=約1.5ドルだったレートが、今では1ユーロ=1.2ドル程度にまで下がりました。

ドル高ユーロ安が進行すると、いわゆる世界的不均衡問題、アメリカの経常赤字の拡大がさらに悪化すると予想されます。

アメリカの慢性的な経常赤字は何十年も前から存在していて、常に問題視されていました。経済学者の中には、経常赤字を解消するために、アメリカは思い切ったドル安政策を採る必要があると主張する人もいるくらいです。ここでいう「思い切ったドル安政策」とは、1ドル=70円くらいになるドル安を意味します。

ドルが安くなって円やユーロが高くなれば、それだけ他国がアメリカ製品を買いやすくなり、アメリカの経常赤字も減っていくでしょう。

ところが現在はドル高ユーロ安が進行しているので、アメリカの対ユーロ圏における経常赤字は、さらに拡大していくと予想されます。