投資がうまくいくかどうかを決める要因には次の3つがあることをご理解ください。それは、1.タイミング要因 2.銘柄要因 3.アセットアロケーション要因です。
タイミング要因とは、いつ買っていつ売るかという売買する時の問題です。
銘柄要因とは、何を買ったのかという個別の投資対象の問題です。
アセットアロケーション要因とは大分類の資産配分の問題です。
ポートフォリオの3つの要因を分析することが、適切な評価方法なのです。
評価要因その1:タイミングの良し悪し
投資タイミングとは安いときに買い、高いときに売るということです。
良いタイミングをとらえればもうかり、悪いタイミングなら損します。
この数年に関していえば、2007年から2009年にかけては、投資してはいけないタイミングでした。その期間内に資金を投入した人は、どんな投資であれ失敗でした。現在も損失を抱えているはずです。絶好の買いタイミングは2008年9月から2009年3月にかけての6ヶ月間でした。相場が崩れていく最中にも勇気を持って資金を投入できた人はまさにツワモノです。
こうした結果論から言えば、過去のタイミング評価は簡単明瞭です。しかし、評価はできてもそれを未来に活かせないのは、いざ未来のこととなるとまったく不透明だからです。どんな時でも、売る人がいれば買う人もいます。タイミング要因を分析することは容易でも、それを予測することは至難の技なのです。
しかし、タイミングをはずさない戦略というのは確かにあります。それは、「いつも」です。いつも資金を投入し続けて、いつも買い続けることでタイミング要因による負けを最小とすることができるのです。毎月購入という時間分散こそ、タイミングで失敗しない不敗の投資術です。
評価要因その2:銘柄の良し悪し
イチローと宮里藍を比べてもあまり意味がありませんし、10年前の野茂英雄と今の松坂大輔を比べても、正確な比較はできません。人はきわめて主観的、感覚的なモノサシで銘柄を比べがちですが、投資行動に生かす評価をするには、厳正な前提条件が必要です。その3大条件は次の通りです。
1.同じ期間内で評価する。
異なる投資期間の銘柄を比較しても、まったく意味がありません。同じ期間で、できれば6ヶ月超の同じ時期のパフォーマンスを比較しましょう。毎日の値動きや勝ち負けを気にすることは百害有って一利なしです。
2.同じピアグループの中で比較する。
ピアグループとは、投資スタイルや資産規模が似通ったファンドの集団をいいます。類似ファンド分類ともいえます。銘柄の優劣は同じ分類の中で評価しましょう。
日本株と米国株を異なるピアグループですが、同じ日本株でも大型株式や小型株式、グロース型とバリュー型とは分けて比較しなければなりません。リンゴとオレンジを比べても仕方ないのです。
3.収益は必然だったのか?解明する
ファンドや企業が狙ったシナリオ通りに稼いだのか?というチェックをしないと、偶然に良いパフォーマンスをあげた銘柄に入れ込む過ちをおかします。良いパフォーマンスがラッキーだったのか、優れた戦略のせいなのかを見極める必要があります。
第1と第2の条件を整えて、もっとも簡単に比較できるツールは、モーニングスターやリッパーのファンド格付けです。第3の条件は証券会社やプロ・アドバイザーの力を借りないと見えないかもしれません。
決して犯してはいけないあやまち
ポートフォリオの評価方法で決して犯していけないあやまちは、
・基準価額の高低で評価する ・異なる購入時期の銘柄の含み益で評価する・収益の絶対額で評価する
あやまった評価方法をとっていると、経験を重ねていても学びにつながりません。よって、成功は再現しません。