リフォームの「相見積り」を取ることはだいぶ定着しましたが、正しく「相見積り」を取っていないことが、新たな金額トラブルの原因にもなっているようです。
「リフォーム」という工事の特異性も理由として挙げられますが、実は施主自身のリフォーム業者との打ち合わせ・交渉方法によっては、追加費用を発生させやすくなるということをご存知でしょうか。今回は追加リフォーム費用で悩むことを極力回避するための秘訣をご紹介します。
初回の相見積りで最安値業者に決めるのは失敗の元
リフォームを検討する時は複数の業者から見積りを取って(相見積り)、価格の相場を確認するべきであるとよく言われます。定価らしい定価というものが存在しにくいリフォームという商品において、悪質業者を避けるのに非常に有効な手段です。しかしながら、この「相見積り」の取り方の本来の意味が忘れられて、官公庁などでよく使われる「入札」と勘違いする人が多いようです。一般的に「入札」では、あらかじめ発注者側が決めた工事内容(仕様)に基づいて、入札に参加する業者が最安値を競うというものですが、最近では官公庁の入札においても低価格入札による粗悪工事を避けるため、最低制限価格などを設定しています。
官公庁でも入札制度では悪戦苦闘しているのですから、工事に関して知識の少ない一般の施主が、リフォームの要望ははっきりしていても、工事内容まで業者に明確に伝えられるかどうかは難しいのです。そんな状態で、初回提示見積りで最安値業者に交渉を絞り込むのは大変危険です。
他にも、おおよそのリフォーム金額を知りたいからという理由で、複数の業者にメールで概算金額の問い合わせを入れる人も多くいますが、ほとんどの方が「メールで回答のあった工事金額ではぜんぜん収まらなかった」と言います。これも上記の事例とほぼ同じ理由と考えられます。
実は正直・良心的な業者を遠ざけてしまっているのかも
「相見積り」によって業者比較をする時、施工実績の多い業者ほど、概算金額をやや高めに提示する傾向があるようです。これは業者が施主に対して強気に金額提示している訳ではなく、工事を始めてから後々発生しやすい追加工事をあらかじめ施主に教えていてくれたり、施主が予算オーバーで困ってしまうことをできるだけ回避させようという優しさだったりするのです。一方、工事の契約を取ることを優先する業者は、施主に言われた工事内容だけで見積り金額を提示し、工事が着工してから「予想以上に下地が傷んでいるから追加工事が必要」とか「ここも直しておいた方がいい」などと追加工事を主張するのです。
リフォーム工事を相見積りで比較するときは、安易に金額比較をするのではなく、どうしてその見積り金額に至ったのかを的確に説明してくれて、追加工事の可能性がある箇所についてや、他のお客様の施工事例・金額について紹介してくれる業者を見つけることを優先させ、ある程度業者の体質や性格を見抜いてから、最安値業者を探すようにすると良いでしょう。
くれぐれも「相見積り」で正直な業者、良心的な業者を振るい落としてしまうことがないように、リフォームを検討する時は「したたか」に、そして「かしこく」臨みたいものですね。
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