黒表現をチューニングするクリアブラック
濱田:ここからはすべての機種に入っているCREAS2の機能ですが、まずは「クリアブラック」ですが、これは、つややかな黒を演出するというものです。日本映画では中間調を大事に表現することで黒が浮き気味に見えることがあり、もう少し黒を沈めたほうが自分の好みに近いというシーンが多くあります。
また、金属や光沢のあるものは、黒を沈めることでかなり質感があがります。また、この機能はユーザーの好みでオフにすることもできます。
三浦:
黒を沈める設定のままだとハリウッド映画は真っ黒という感じになりかねないのですが、クリアブラックはマイナス方向に働かせることもできるので、黒の素材をより高い階調で表現し、よく見えるようにすることもできます。これは映画「ダークナイト」のような黒いシーンの多い素材で有効です。
一条:
「ダークナイト」は暗いシーンが多いですね。
濱田:
たとえば、ダークナイトを黒を沈める傾向のあるプラズマのモニターで見ると、黒い部分が本当に真っ黒になってしまい、そこに何があるのかわからなくなってしまう傾向がありますが、クリアブラックをマイナス側に設定すると、黒い領域もちょうどいい感じに描写されます。
出力機器に映像を最適化する「モニタ別プリセット出力」
濱田:そんなこともあって、今回はCREAS2の新機能として、「モニタ別プリセット出力」という機能を用意しています。先ほど言ったプラズマは黒を沈める傾向があるので、クリアブラックをマイナス方向に働くように設定しています。
一条:
パイオニアのプレーヤーもモニタ別プリセット機能を持っていますね。
濱田:
今回、今までさまざまな表示機器を開発したり、映像を見てきたノウハウをつぎ込んで、クリアブラックのトーンのカーブを作り込んでいます。そして、エンハンス、鮮鋭感を出す組み合わせを、ディスプレイによって変えています。
たとえば、プロジェクターだと映像が柔らなくなる傾向があるので、鮮鋭感を出す方向でチューンしています。
一条:
一般ユーザーには画質の調整は難しいので、モニタ別プリセット出力は便利な機能ですね。
濱田:
出力機器を選択するだけで、我々が最適と考える設定になるので、便利だと思います。さらに、それ以上、追い込みたい方は、そこをベースにパラメータをいじれるようになっています。
今回、このクリアブラック、トーンカーブを変える技術ですが、これはCREASの利点を生かして14ビットでカーブを作っています。これを最終的に8ビットで出力したのではバンディングが発生してしまって意味がないわけですが、SBMによって、作成した14ビットデータを視覚的に14ビット相当で人に認識される映像として出力できます。SBMがあった上でのクリアブラックであると言えます。
SBMがないと実現できる機能ではないため、他社ではなかなか同じようなことはできないのではないかと思います。
パート3へ続く
SONY デジタルハイビジョンチューナー内蔵HDD搭載ブルーレイディスクレコーダー HDD500GB BDZ-RX50
SONY デジタルハイビジョンチューナー内蔵HDD搭載ブルーレイディスクレコーダー HDD500GB BDZ-RX50