株・株式投資/システムトレードの基礎知識

システムトレードとは?メリットとデメリット

「過去に裏打ちされた、投資アイデアに従って、機械的にトレードすること」を、システムトレードといいます。今回はシステムトレードの特徴や、メリット・デメリット、良い投資アイデアの見つけ方をご紹介します。

西村 剛

執筆者:西村 剛

株式ガイド

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システムトレードとは?

突然ですが、たとえ話をします。

あなたの目の前に、2つの投資アイデアがあるとします。1つは、「過去20年以上に亘って、着実に、年利10%を稼ぎ出した」投資アイデア。もう1つは、「昨日思いついた、なんとなく良さそうな」投資アイデア。

あなたは、どっちを使いたいと思いますか?

…答えは、聞くまでもありませんね?(笑)あなたが真っ当であれば、「過去20年以上に亘って、着実に、年利10%を稼ぎ出したアイデア」を選んだと思います。少なくとも、過去に実績があるからです。こちらの方が、これから先も、利益を出せそうですよね。どうせ運用するなら、「過去に裏打ちされた投資アイデア」に従いたいですから。

「過去に裏打ちされた、投資アイデアに従って、機械的にトレードすること」を、システムトレードといいます。今回はシステムトレードの特徴や、メリット・デメリット、良い投資アイデアの見つけ方をご紹介します。

システムトレードとは?

システムトレードは、「過去に裏打ちされた投資アイデアに従って、機械的にトレードする」運用手法です。つまり、裁量(勘)をはさみません。

システムトレードでは、「なんとなく」でトレードすることがありません。裁量(勘)が必要ないので、経験の無い初心者でも始めやすいという利点が挙げられます。また、システムトレードでは、過去に裏打ちされた方法で運用します。よって、利益を出すイメージがつかみやすいと言えるでしょう。

一方、過去に類を見ない状況が訪れた場合に対応することが難しいという欠点もあります。たとえば、リーマン・ショックを上回るような暴落がある場合や、核戦争が起こった場合が挙げられます。システムトレードは前例に学ぶ運用法ですから、前例が無ければ、対応するのは困難と言えるでしょう。

投資アイデアの見つけ方

投資アイデアは、過去のデータを集計して、そこから利益を出しているものを探すことで見つけます。過去のデータを集計すると、「勝率」や「損益」が分かります。

優れたアイデアを見つけるには、「勝率が50%以上かどうか」「損益がプラスかどうか」の2点に着目すると良いでしょう。この2つを場合分けすると、以下の4つの投資アイデアに分類することができます。
  • 「勝率が50%以上」かつ「損益がプラス」
  • 「勝率が50%未満」かつ「損益がプラス」
  • 「勝率が50%以上」かつ「損益がマイナス」
  • 「勝率が50%未満」かつ「損益がマイナス」
得られた結果により、投資アイデアが優れているか、それとも使い物にならないか、手軽に見分けることができます。これから、具体的な見分け方をご紹介します。まずは、「勝率が50%以上かつ損益がプラス」について見ていきましょう。

勝率が50%以上で損益がプラス

この場合、資産は以下の図のような推移で増えていきます。

勝率が50%以上で損益がプラス

勝率が50%以上で損益がプラス


勝率が50%以上なので、全トレード回数のうち半数以上が勝ちトレードであり、トレードを重ねるごとに利益が増えていく可能性があります。もっとも低リスク・高リターンなパターンと言えるでしょう。

勝率が50%未満で平均損益がプラス

この場合、資産は以下の図のような推移で増えていきます。

勝率が50%未満で平均損益がプラス

勝率が50%未満で平均損益がプラス


勝率が50%未満なので、全トレード回数のうち半数以上が負けトレードですが、平均損益がプラスなので勝ちトレードのときの利益が大きく、トレードを重ねるごとに利益が増えていく可能性があります。ただし負けトレードを繰り返すことに耐えられない人にとっては運用しづらいでしょう。

勝率が50%以上で平均損益がマイナス:

この場合、資産は以下の図のような推移で減少していきます。


勝率が50%以上で平均損益がマイナス

勝率が50%以上で平均損益がマイナス


勝率が50%以上なので、全トレード回数のうち半数以上が勝ちトレードですが、平均損益がマイナスなので、負けトレードのときの損失が大きく、トレードを重ねるごとに利益が失われていく可能性があります。勝率は高くても、全体では利益を出せていません。このようなアイデアは、実際の運用に取り入れない方が良いでしょう。

勝率が50%未満で平均損益がマイナス:

この場合、資産は以下の図のような推移で減少していきます。


勝率が50%未満で平均損益がマイナス

勝率が50%未満で平均損益がマイナス


勝率が50%未満なので、全トレード回数のうち半数以上が負けトレードであり、平均損益もマイナスなので、負けトレードのときの損失が大きく、トレードを重ねるごとに利益が失われていく可能性があります。負けることが多い上、収支もマイナスです。このパターンもやはり避けた方が無難でしょう。

システムトレードの結果は以上の4のパターンに大別されますが、実際に運用するとしたらどれがいいでしょうか? ほとんどの方が「勝率が50%以上かつ損益がプラス」を選ぶのではないでしょうか。このように、投資アイデアを思いついたときは、「過去にどのような成績が得られたのか?」を事前に確認しておくのが良いと考えられます。

では、実際に投資アイデアを思いつくには、どのように考えれば良いのでしょうか? 口で言うのはかんたんですが、慣れるまでには、少し訓練が必要です。そこで、これから「勝率50%以上で損益がプラス」の投資アイデアを、1つご紹介します。

「権利確定」と「ドレッシング買い」の先回り投資

この投資アイデアの発想はシンプルです。それは、「2月末に日経平均採用銘柄を購入し、3月末に売却する」というアイデアです。

3月は年度末ということで、大半の企業にとって3月期決算の業績が確定する月です。そして、決算に伴い株主優待や配当の権利確定がある月でもあります。また、機関投資家などが、年度末の決算内容をよく見せるための「ドレッシング買い」をするとも考えられています。これらのイベントを先回りして、2月末に株を買い付けたら、利益を出せるかもしれません。

そこで今回は、「システムトレードの達人」という分析ソフトを使って、過去の株価データを調べることにしました。具体的には、以下の条件で、投資アイデアを検証します。

******************************
アイデア【「権利確定」と「ドレッシング買い」の先回り投資】の検証
検証期間:1990年~2017年(28年間)
対象銘柄:日経平均採用銘柄
買ルール:2月26日、27日、28日、29日のいずれかになったら、翌日成行で買い
売ルール:エントリーした日から25日以上経過後に翌日成行で売り
******************************

以上のルールで過去の株価データを調べました。すると、以下の結果が得られました。
システムトレードの達人

システムトレードの達人

検証の結果、勝率が57.51%となり、「50%」を上回りました。また、平均損益率が2.26%となり、プラスでした。「勝率が50%以上、かつ損益がプラス」です。この投資アイデアに従うことで、着実に利益を出せると期待できます。

まとめ

いかがでしたか。システムトレードの具体的なイメージがつかめたでしょうか?

システムトレードは、「過去に利益を出し続けてきた投資アイデアにしたがって、機械的に取引を繰り返す」運用法です。良い投資アイデアさえ見つければ、あとはそれに従うだけです。淡々と株の売買を繰り返すことで着実に利益を出せると期待できます。

裁量(勘)が要らないので、初心者の方にも使えます。また、時間もかからないので、忙しい方にも実践しやすい運用法です。ぜひあなたも、過去のデータを調べてみて、良い投資アイデアを見つけてみてください。
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