今回は、実際の企業をケーススタディとして調べてみようと思います。
前回の話の中で土地の含み益を持ってそうな会社には、以下のような特徴があると書きました。
- 設立してから古く歴史がある
- 都内などに大きな土地を保有している。
今回はその特徴から東宝不動産(東証一部:8833)を例にとって説明してみましょう。東宝不動産は東宝の子会社で、千代田区にある日比谷の帝劇ビルや東宝ツインタワーなどのビル賃貸や飲食店の経営、道路補修などの事業を行なっています。
ちなみに、設立が1947年、日比谷や都内に自社ビルを持っていますので、前記の特徴と一致してますよね。
有価証券報告書(以下、有報)で見るポイント
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有報には会社が保有している資産内訳が詳細に記入されてます。そこで、含み益を探す時にはその会社が資産の価格がいくらなのか調べる必要があります。
右の画像は、この東宝不動産が持っている設備の一部を抜粋した内容です。東宝不動産の建物・設備・土地の帳簿価が記載されています。
この東宝不動産の持っている資産の中で一番大きい帝劇ビルに注目してみましょう。
簡単にいうと帝劇ビルの帳簿価格は、ビル建物で23億63百万、機械装置及び運搬具で52百万、土地で2億17百万(3.825平方メートル)、その他10百万円の合計で約27億円分という事が上の図には書かれています。これは、東宝不動産という会社がこのビルに対してこの値段で計上しているという事です。
そして次にココで注目するのは、土地の帳簿価格です。土地の帳簿価格は2億17百万(3.825平方メートル)と書かれています。これを平方メートルあたりの単価に直すと、約7万4000円になりますよね。
簡単にいうと、東宝不動産の資産経常されてる日比谷や有楽町駅前の土地が帳簿価格が1坪約24万円という事になります。都心の1等地が100万以下で評価されてるなんてすごく安いですよね。
では、公示価格で帝劇ビル周辺の土地の値段が現状いくらぐらいなのか調べてみましょう。
含み益の計算方法
土地の値段は、「国税庁 路線価格」を見て値段を確認します。
探し方は、実際の帝劇ビルの住所を控えておき、その住所部分を路線価格のサイトで確認するという流れです。
このサイトは慣れるまではちょっと面倒かもしれませんが、何回かやってく内に慣れると思います。まだ平成19年の最新情報が反映されていませんので、今回は平成18年度の情報で調べています。
次に、帝劇ビルがある所を探し出し確認してみると、道路に面して部分に数字が書いてありますが、その数字が、その道路に面している数字が1平方メートルあたりの値段になります。
帝劇ビルで言うと高いところで12,430千円、安い所で9,040千円。東宝不動産の資産計上されている、帳簿上の単価は、約7万4000円。公示価格では、高いところで平方メートル単価、1243万円、安い所でも904万円。
含み益を計算すると、帝劇ビルだけでも、470億~320億の含み益がある事がわかります。こうした調査で含み益があぶり出されます。
まだまだ肝心の続きがあります。
【関連リンク】
国税庁 路線価格
EDINET
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