富裕層向けビジネスに注力する企業
現在の様な厳しい経済環境によって個人消費が低迷する中でも業績拡大を目指して富裕層向け商品に力を入れて商品開発する企業が相次いでいます。例えば、大手旅行会社とイギリスの大手金融HSBCグループが富裕層を対象とした商品やサービスの開発などを目的に業務提携を発表したり、三井不動産販売と三井住友銀行が業務提携を行うなど、各社とも富裕層向けビジネスに対する取組みを重視・強化する動きが現れてきています。なお、富裕層の定義というのは一般的に金融資産一億円超保有する層と言われていますが定かではありません。ただ富裕層は商品価格ではなく商品のクオリティーやサービスの質を重視して商品を選ぶことが多く、商品を一度利用して気に入れば安定したリピーターとなる傾向があり、一顧客辺りの生涯獲得売上高は大きいと言われています。
そのために各社とも富裕層顧客獲得のためのマーケティングに力を入れているのです。
そこで今回、富裕層向け商品やサービスに取り組んでいる企業は、景気後退局面においても価格競争力があることで業績の下支え効果期待が出来ることにより、株価は他の企業と比較しても堅調に推移しているのではないかと仮説をおいて考察してみました。
上場企業で富裕層に限定して商品やサービスを提供する企業はありませんが、富裕層向け商品・サービスの定義づけを商品やサービスに対して他の企業以上に更なる付加価値を付けることを重視している姿勢を持った企業を付加価値重視型企業と位置づけ、そのような付加価値重視型の企業と価格訴求型の企業について株価と業績面で比較し、00年3月から03年4月までの株価下落局面において比較しました。
騰落率
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営業利益推移
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次のページでは「付加価値重視型企業」についてお話します。