こんにちは、保畑です。
先日、何か暇つぶしに読む本を探しに会社近くの本屋に行ったんです。一通り、文庫本や雑誌を見回った後、職業柄か経済週刊誌の棚に行きました。そして、そこで少し驚いたことがありました。いくつかの週刊誌の特集を「インド」が飾っていたのです。今までは、このサイトでも何度か取り上げたようにエマージング諸国としては中国が投資対象としてもてはやされてきました。確かに、他の先進国に比べると中国は経済も安定してきていますし、外国からの資金も集まってきています。着々と「先進国」の仲間入りをしているといってもいいでしょう。
そして、世間は中国がすでに成熟したと見たのか、第2の中国を探し始め、インドが脚光を浴びてきたというところでしょうか。個人的には、中国が成熟しているとは思いませんし、インドよりもやはり中国に投資するほうが安全であると思うのですが、インドが気になる多くの方々のためにインドの経済についてご紹介したいと思います。
インド経済について
前回のコラムでも紹介したように、先進国の仲間入りをする最先鋒の4カ国としてBRICsを紹介しました。その中で、上記したようにCの中国が頭ひとつ抜けて経済発展を遂げています。そして、次に先進国に近い国としてインドが挙げられるわけです。中国の場合、その安い人経費から「世界の工場」として製造業を中心に外国の資金を集め経済発展をし、今は世界一を誇る人口が国内の消費を拡大し、「巨大な消費国」として立国しています。
さてインドの場合、中国のそれとは少し違います。インドは、皆さんも中学生のころ習った記憶があると思いますが、最近まで「カースト制度」という人種階級制度を強いていました。いわゆる日本でも江戸時代に存在した「士農工商制度」のようなものです。こういう人種階級制度があると、消費や雇用が国全体に広がらず、貧富の格差が縮まらないため、国全体が成長する足かせになってしまいます。インドの場合も、同様のことが言えるわけです。
インドと中国の違い
現在インドを取り上げている多くの雑誌などで書かれている内容は、インドは中国と同じような成長を遂げる!というものです。確かに、将来的には同じように先進国の仲間入りをする可能性は高い両国です。しかし、その成長のプロセスは実は全く違うのです。まず、中国の場合先述したように「安い賃金を利用した非知的産業」を国に根付かせることで発展してきました。そして今では、パソコンやソフトウェアのような技術を取り入れた産業の育成に力を入れ始めています。
インドの場合は、ま逆です。インド人は「99×99までの掛け算」が小学生から教え込まれる、といわれています。(実際は違うようですが・・・)しかし、それほど理数系の人材は多く、またIT産業に優れた人材を輩出している国です。皆さんが普段使っている「インスタントメッセンジャー」もインド人の発明ですし、世に出ているITテクノロジーでインド人がアメリカの企業に売った技術は数え切れないほどあるのです。
しかし、ITを中心とした知的労働者階級の人たちは、未だインドの人口の一握りでしかありません。なぜなら、十分な教育を受けるには、今までカースト制度の上位にいる国民しか不可能だったわけですから。しかし、知的産業が伸びても、教育レベルが平準化されていない国では、国全体の経済を発展させるには至りません。雇用の創出も起こりにくいですし、それに伴う内需の拡大(雇用が生まれて、人が物を買うお金を手にする・・・という流れです)も生まれません。そこで、インド政府は、国内の雇用を創出するために、中国がやってきた道をたどろうとしています。つまり、依然残っている非知的労働者の安価な労働力を使い、海外の企業を誘致しようというわけです。そして、徐々にその効果が出始めているという現段階なのです。